木村拓哉が9年ぶりに月9ドラマにて主演を務めることで話題のドラマ「風間公親-教場0-」(フジテレビ系)が、4月10日放送の第1話で視聴率12.1%をマーク。多くのメディアが「好発進」と報じるなか、テレビ業界では今回の数字をどう評価すべきなのか、頭を悩ませているという。
まず12.1%という数字について同じ月9ドラマで比較してみると、昨年4月期に放送された「元彼の遺言状」が初回で同じ12.1%を記録して以来、4作品ぶりの12%台となった。ここ3作品は初回が10~11%台に終わっていたことから、「さすがはキムタク」との声があがるのも納得だ。
また木村の主演作で比較した場合にも、回復具合が見て取れる。2020年の「BG~身辺警護人~第2章」(テレビ朝日系)では初回視聴率15.7%をマーク。しかし昨年4月期の「未来への10カウント」(同)では初回11.8%と大きく数字を下げていたことから、微増とはいえ数字が回復したことは評価に値するだろう。
「ただ月9ドラマをここ2年ほどのスパンで見わたすと、昨年1月期の『ミステリと言う勿れ』は初回13.6%をマーク。2021年の作品では『監察医 朝顔 第2シリーズ』が13.8%、『イチケイのカラス』が13.9%、そして『ナイト・ドクター』は13.4%と、3作品で13%台をマークしていました。それに比べると『教場0』の12.1%が物足りなく見えてしまうことは否めません」(テレビ誌ライター)
そうなると菅田将暉や波瑠といった30歳前後の俳優を主役に据えれば、木村以上の数字が見込めるということになる。ただでさえ木村の主演ドラマでは制作費がかさむと言われており、「BG~身辺警護人~」では1話あたり1億円かかっていたとの噂も。これではコストに見合う視聴率を稼げていないとの指摘もありえるだろう。
ただその一方で、現在のドラマを取り巻く状況を考えれば、「教場0」の12.1%が十分に及第点との声もあるというのだ。
「3月13日からはマスクの着用が個人の判断に委ねられ、コンサート会場でもマスク着用での声出しが解禁。新型コロナ禍は完全には収束していないものの、エンタメ業界はコロナ以前の状況に戻りつつあり、この夏は様々なフェスも通常開催される模様です。これは娯楽の多様性が戻ってきたことを意味しており、巣ごもり需要の恩恵を受けてきたドラマ業界にとっては逆風となっています。それゆえ4月期ドラマの『教場0』は、かっこうのテストケースになっていると言えるのです」(前出・テレビ誌ライター)
しかも見逃し配信などドラマの楽しみ方も多様性を帯びており、昨年10月期の「silent」(フジテレビ系)はTVerでの見逃し配信で過去最高の数字を記録。一方で同作品の初回視聴率はわずか6.4%に過ぎず、シリーズを通して一度も10%の壁を突破することはなかった。
「それでも『silent』が低視聴率だったと批判する声は少なく、むしろ良作として評価する声ばかりなのはドラマファンも広く知るところでしょう。ともあれ2023年のドラマ業界は、視聴率の新たな評価方法が定まっていない状況。『教場0』としては初回の数字を今後もキープし続けられるかどうかが勝負の分かれ道となりそうです」(前出・テレビライター)
第1話では筋骨隆々とした市原隼人が、体力のなさから警察官をあきらめたとの謎設定が話題を呼んでいたもの。そんなネガティブなネタでもネット上で話題を呼んでいれば、まだマシなのかもしれない。