2013年上期のNHK朝ドラ「あまちゃん」第63話が6月14日、再放送され、物語内でこれまで再三話題になっていた映画「潮騒のメモリー」の内容が明らかになった。
アイドルを目指しての東京行きに失敗し、落ち込む足立ユイ(橋本愛)を励ますため、主人公・天野アキ(能年玲奈)は「海女~ソニック」を企画。海女カフェ内のステージでユイとのユニット「潮騒のメモリーズ」を期間限定で復活させようと考える。
アキが母親の春子(小泉今日子)を説得しようと家に戻ったところ、春子はなぜかテレビを見ながら涙を流している。驚いたアキは話をするタイミングを逸してしまうのだ。
母はなぜ泣いていたのか。気になったアキはビデオデッキをチェック。母が映画「潮騒のメモリー」のビデオを見ていたことを知る。
アキが、ビデオテープを春子に貸した北三陸駅の副駅長・吉田正義(荒川良々)に話したところ、吉田は「あーやっぱり。春子さん泣いた?泣ぐよね、潮騒のメモリー見たら」と納得顔。駅長の大向大吉(杉本哲太)も観光協会長の菅原保(吹越満)も「オレらの世代はみんな泣く」と口をそろえる。
はたして、ドラマ内の設定で登場する感動の名作映画「潮騒のメモリー」はどんなストーリーなのか。テレビ誌ライターが解説する
「1986年の青春映画という同作は、今や実力派女優として知られる鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)のデビュー作という設定。吉田や琥珀掘りの小田勉(塩見三省)によると、舞台は宮城の松島。貧しい海女の母親・律子の女手一つで育った娘のひろみは、17、8歳頃の夏にもっと貧しい村の青年・新助と知り合い恋心を抱くものの、律子の夢は、ひろみを本土の名家・合田財閥に嫁がせること。新助との交際には反対なんです。そんなある日、新助が熱病にかかり、ひろみは本土の病院に連れて行こうとするが、船が難破し、二人は無人島に…」
ここで大吉は「んだんだ!それで例の名場面。“その火を飛び越えて来い”になるわけだな?」と興奮気味に口を挟むが、吉田は、そんな場面はなかったと否定するのだ。
「三島由紀夫の『潮騒』と記憶がごっちゃになってんだな」と説明する勉の言葉を継いで、吉田は、飛び越えるシーンはあるにはあるが、飛び越えたのは焚き火ではなく「ヘビ」だったという、驚きの事実を明かしたのだ。のだ。
盛り上がりに欠ける展開に、アキは疑心暗鬼となるが、「見れば間違いなく泣ける」という吉田の言葉に、作品を見てみることに。
「結果、アキも号泣するのです(笑)。この映画のどこで泣けるのか、2013年の本放送時もネットでツッコまれていましたね。とにもかくにも、荒唐無稽なストーリーと斬新な演出が話題となり『潮騒のメモリー』は大ヒットを記録し、鈴鹿ひろ美はその年の名だたる映画賞を総ナメにしたという設定なのです」(前出・テレビ誌ライター)
映画に感激したアキは、祖母の夏(宮本信子)に対し、「おら映画女優になりたい、この人(鈴鹿)みたいになりたい」と宣言したのだ。
いよいよ将来の夢が見つかったアキ。ユイと同じく芸能界に進むことが目標となったが、その方向性は、アキが女優でユイはアイドルと、微妙に違ってきたのだ。
このズレが、二人の関係性にどう影響してくるのか。ストーリーは間もなく「東京編」へ移る。
(石見剣)