アバンギャルドな衣装に負けず劣らずのインパクトを与えていたに違いないようだ。
8月10日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第112回では、ソロタレントとなったヒロインのアキ(能年玲奈)が幼児向け番組「見つけてこわそう」に出演。さかなクンと運命の出会いを果たす場面が話題となった。
さかなクンが司会を務める同番組は、物を壊すことで逆説的に物の大切さを伝えるというもの。ここで初共演を果たした二人は、9年後にさかなクンの自伝的映画「さかなのこ」で共演を果たしており、その歴史を知る視聴者からは<このシーンだったのか!>といった声があがっていた。
その一方で、アキと一緒にアイドルを目指していたユイ(橋本愛)もこの回で大きな変化を見せていたという。
「アキが出演している番組を、北三陸駅のスナック『梨明日』で観ていたユイ。彼女の服装は前週までのヤンキー風からガラッと変わり、プリーツ入りのブラウスと黄色のカーディガンという清楚なものに代わっていました。髪型もちゃんと前髪を作った黒髪になっており、アイドルを目指していたころのユイに戻っていたのです」(テレビ誌ライター)
前々回の第110回では「北鉄のユイちゃん」として、海女の衣装で撮影会に臨んでいたユイ。この時点ですでに髪は黒髪に戻っていたが、服装も以前の清楚さに戻したのは今回の第112回になってからだ。
一方でアキは、地元系アイドル「GMT5」を脱退したことにより海女の衣装を着ることもなくなり、幼児番組「見つけてこわそう」では女性ピエロさながらのアバンギャルドな衣装を身に着けている。一見、アキとユイの方向性は逆行しているように見えるが、実はこのタイミングでの衣装変化は、同じ方向性を示していたというのである。
「今回、二人の服装はいずれも『リスタート』を示していました。ユイはアイドルを目指していた当時に戻り、一方のアキは以前の自分を捨て去ることにより、東京でアイドルを目指すという道に立ち戻ったのです。しかもドラマを離れて二人の女優人生を見比べた場合も、橋本は正統派の女優としてさらなる活躍をスタート。一方で能年は“のん”に改名して創作あーちすととして活動することになり、そのアバンギャルドさが今回の番組衣装に表れていたのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
2013年の本放送時には、能年が将来「のん」になることも、さかなクンの自伝映画に出演することも誰一人とさえ知らなかった。しかし今振り返ってみると、そんな運命さえ作中に描かれているとして思えない内容には、「あまちゃん」という作品の特別さを感じずにはいられないのではないだろうか。