旧ジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)の創業者・ジャニー喜多川氏(2019年に87歳で死去)の性加害問題が表面化した昨年3月を境に、所属タレントの退所・独立、CM契約の見直しや番組終了ほか、多くの障壁が立ちはだかった。その一方で、これまでは旧ジャニタレントが幅を利かせていた音楽番組に、他事務所のボーイズグループやグローバルアイドルが出られるようになる利点も生まれた。その1組にいたのが、4月10日深夜に、今年2月7日にスタートした冠番組「Da-iCE Lab」(日本テレビ系) が最終回を迎えるDa-iCEだ。
エイベックス・マネジメント所属の5人組ダンス&ボーカルグループ。11年に結成され、20年に配信・リリースした「CITRUS」は、翌21年にストリーミング累計再生回数が1億回を突破。日本レコード大賞を初受賞した。22年には「スターマイン」がTikTokで楽曲再生数5億回を記録。「第64回日本レコード大賞」で優秀作品賞を獲った。
結成からコンスタントに全国ツアーで音楽を届けているため、アリーナツアーをフルハウスにできるほどの人気と腕がある。最大の魅力は、ボーカリストの花村想太の4オクターブも幅を持つ高音ボイス。ボーカル、ダンス、楽曲のすべてが世界で通用するとあって、音楽フェスの常連でもある。
レコ大アーティストとなったDa-iCEだが、当然メンバー全員が下積み経験者。糊口をしのぐため、花村は様々なアルバイトをした。10代、20代の頃は飲食店や衣料品店などで生計を立てていた。節約のために食費を削り、夜はもやしをアレンジした食事ばかり。体重が49kgまで落ちた。印象に残っているバイトは、大道具。配属先が「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)で、現場の裏方スタッフとして働いていた。
「週に2度ほどフジのスタジオがあるお台場まで行き、細身なのに力仕事をやっていたそうです。『スマスマ』の番組のラストはほぼ、一流アーティストとSMAPメンバーによる音楽のセッション。セットがとにかく絢爛豪華でしたね。ある日のゲストは木村カエラさん。セットを動かす担当だった時は、動かす壁の隙間から歌唱する姿をのぞいていたら、香取慎吾さんが目の前に現れて、ウィンクされたらしい」(テレビ誌のフリー記者)
Da-iCEはSMAPと音楽共演できなかった。花村にとっては悔いが残るかもしれないが、香取がくれたファンサ(ファンサービス)は一生の思い出に違いない。
(北村ともこ)