今年1月、昨年末に報じられた女性トラブルを理由に芸能界を引退していた元タレント・中居正広氏の性暴力が認定された。3月31日、フジテレビの第三者委員会が開いた記者会見で明らかにされた事実は、あまりにも衝撃的だった。
会見では、第三者委員会が394ページに及ぶ調査報告書を開示した。その内容は、「フジテレビの元女性アナウンサー」に対するに送った嘘と未成熟さに満ちたショートメールのやりとり、2023年6月に起きた男女トラブルの直後、元女性アナがPTSDや摂食障害、うつ病を発症して入院した際に、「見舞い金」と「快気祝い」と称して100万円を渡そうとしたほか、権威格差を利用した…などというものだった。
そもそも中居氏は、どういう人間だったのか。以下、報告書の内容も含め振り返っていくと、中学生だった1986年にジャニーズ事務所（現・STARTO ENTERTAINMENT）に入所して、91年にSMAPとしてCDデビュー。グループは芸能界のトップに君臨した一方で、個人では「NHK紅白歌合戦」ほか大型番組でMCを務めた名司会者だった。
19年にジャニー喜多川元社長が他界すると、翌20年に事務所を退所。独立したあたりから、雲行きが怪しくなった。
翌21年12月に、六本木のハイグレードホテルのスイートルームで、フジ編成幹部や男性タレント、女性アナを集めて“上納飲み”。男性を先に帰らすよう促して、女性アナの身体の一部に触れたり、顔を近づけるなどしたうえで、宴に費やした約38万円をフジの経費で精算させた。類似した飲み会には常習性があり、今回元女性アナが声をあげたことで、過去にも重大なハラスメントをはたらいていたことも明るみに出た。
お粗末で稚拙な中居の口説きテクニックは、10代から40代をジャニーズ一色で過ごした中年男性の行き着く先だったのか。
奇しくも会見が行われた3月31日は、中居の後輩にあたるKAT-TUNが解散、亀梨和也がSTARTOを退所した。同日はファンクラブ会員向け動画で亀梨、上田竜也、芸能活動を休止中だった中丸雄一がスリーショットを披露。元メンバーの赤西仁はXでグループに感謝の意をポストし、Xの音声ファイル・スペースで中丸は思いを語った。
ところが、当日のニュース番組は人権問題である中居スキャンダル一色。24年間も活動してきたKAT-TUN“最後の日”の話題はまるで目立たなくなってしまった。そもそもKAT-TUNにも、盛大に送り出せない事情がある。昨年、新婚だった中丸が路上でナンパした女子大学生とアパホテルで密会していたことが報じられた。元日本テレビアナウンサー（現・フリーアナ）の笹崎里菜と結婚したわずか半年後の“アパ不倫”疑惑とあって、活動を謹慎。すでに今年の活動再開を発表していたが、ステージ復活に間に合わなかった。
「中居氏の場合は、昭和の権威至上主義の悪しき体質が抜けきっていなかった。中丸は、ナンパからビジネスホテルへの連れ込み。動いた額は違いますが、昭和のジャニーズイケイケ時代に芸能界に飛び込んできた男性のお粗末スキャンダルという点では同じ。令和の時代に、“昭和ジャニ”の女性問題への適応力の欠損ぶりが次々と白日のもとにさらされることになったのは、必然的なものだったのかもしれません」（ベテラン芸能記者）
メディアから消えつつある「旧ジャニ」というフレーズ。この期に及んで再び顕在化するとは皮肉だ。
（北村ともこ）
