子どもが将来幸せに生きていけるようにするために、親や教育現場など、子どもたちの周りにいる私たち大人ができることは何だろうか。何を備えさせて大人へと送り出してあげればいいのだろうか? 情報が簡単に、大量に手に入る今だからこそ、どうしたらいいのかわからなくなってしまいますよね。
教育現場で子どもたちと接していて思うことは、どんな世界で何をして生きていくと決めても、自由に世界を羽ばたけるようにするには「読解力」をつけることが欠かせない、ということです。
どんなにたくさんの情報を得ても、重要なことを選別し、受け取る整理ができなければ迷子になってしまいます。よくわからないものは怖いし信じることができないので、せっかくのお得情報を自ら排除してしまうことも。正反対の意見や情報に惑わされたり、チャンスを見送ってしまったりしてしまうのです。
これからの時代、「受け身」でいては大成しにくいということは明らかです。機械にできない新しい価値を創造するには、「考える」ことと「行動する」ことが不可欠。まずは考えて意味をつなげ、新しい発見をしなければ行動へと移せませんから、やはり「読解」の力は欠かせないのです。
さらに、読解力は自分の力を伸ばし、幸せにするための武器でもあります。それは、自分を知ることがより的確にできるようになるからです。すると、自分はどんなことをしていると幸せで、その世界でどんなふうに生きていきたいか、大切にすべき人やものごとは何なのかを自信をもって決めることができる。自分の弱みやこれから伸ばしたい力を把握することができる。自分で自分を幸せにするために何が必要なのかを考えることができるのです。
子どもに対して、幸せにしてもらえるラッキーな出会いがありますようにと祈るのではなく、自分の力で自分を幸せにしてねと送り出すことができる。その意味で、子どもたちの読解力を伸ばすことは、私たち大人の使命かもしれませんね。
(Nao Kiyota)