加藤シゲアキ「オルタネート」直木賞を逃すも“高評価”が相次ぐ背景

 1月20日、第164回直木賞の選考会が開かれ、候補の6作品に選ばれていたNEWSの加藤シゲアキの「オルタネート」は惜しくも受賞を逃した。だが、選考委員から絶賛する声があがっており、小説家としての評価を改めて高めている。

 選考委員を務めたハードボイルド作家の北方謙三氏は「オルタネート」が最終選考の4作品に残っていたことを明かし、「私は非常に青春小説としてよく書けていると思いました。これを強く推す委員は他にもいました」と語った。加藤に直木賞を受賞させようという雰囲気は選考委員の中にもあったというが、「やはり、もう一作くらい待ってみよう」と受賞までもう一歩のところで惜しくものがしていたことを明かしたのだった。

 加藤は2012年に「ピンクとグレー」で文壇デビューを果たすと、「閃光スクランブル」「Burn. ─バーン─」の三部作を立て続けに発表。その頃はアイドル作家としての域を抜けていなかった印象だが、短編集にも挑戦するなど次第に作家としての力をつけ、前作「チュベローズで待ってる」ではファンのみならず多くの読者に支持され、Twitter文学賞の国内編1位にも選出されている。

「新作『オルタネート』は、高校生限定のマッチングアプリを舞台にした青春小説で、直木賞にノミネートされたことが報道された際には、《ジャニーズのゴリ押し》《忖度ノミネート》などネット上では厳しい意見が相次いでいましたが、その一方で書評家などからは高く評価されていました。実際に読んでみると細部までしっかり取材していることが伝わり、クオリティが非常に高い印象です。21日には全国の書店員の投票で決まる『2021年本屋大賞』に同作がノミネートされたことが発表されましたし、やはり読書好きからはきちんと評価されているのを感じますね」(ネットライター)

 次回作では初のアイドル直木賞作家が誕生するかもしれない。

(板橋亮二)

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