まさか彼にそんなセリフを言わせるとは…。驚きと感動が広がっていたようだ。
12月6日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第48回では、ヒロインのスズ子(趣里)が自分の楽団を立ち上げるもまったく仕事が入らない状況に。悩む彼女を作曲家の羽鳥善一(草彅剛)が自宅に招き、ブルース歌手の茨田りつ子(菊地凛子)と一緒に音楽会をやることを提案した。
太平洋戦争開戦間近の昭和16年12月となり、スズ子やりつ子が歌うジャズやブルースは官憲から“敵性音楽”とみなされ、演奏の場は縮小。そんな世相に羽鳥は「誰も君たちから歌を取り上げるなんてできない」「そんなこと許してたまるか」と、珍しく感情的な言葉を口にしていた。
そのうえで羽鳥は「歌う場所がないなら自分たちで作ればいい」と宣言し、「音楽会を開こう」と提案。スズ子とりつ子の二人で合同コンサートを開催するとのアイデアを披露していた。
「羽鳥が口にした『歌う場所がないなら…』というセリフに、草彅のファンはビックリ。彼が語ったセリフはまるで、草彅ら元SMAPのメンバーが旧・ジャニーズ事務所から独立したときの状況を言い表しているかのようだったからです。ファンたちは《これをつよぽんが言うのか!》と驚くと共に、感動したという声も続出していました」(芸能ライター)
草彅と香取慎吾、稲垣吾郎の3人はジャニーズ事務所を退所後、「新しい地図」として活動。テレビ出演がほとんどないなか、3人でのコンサート活動を行い、多くのファンを熱狂させていた。
その流れを念頭に置けば、羽鳥がスズ子とりつ子に語り掛けた「どうだい? 面白くなりそうだろう」というセリフが、まるで草彅自身の気持ちを言い表しているように聞こえたとしても不思議はないだろう。
「スズ子とりつ子、そして羽鳥が抗っているのは、敵性音楽を制限しようとする官憲という巨大な権力。羽鳥の言葉を受けた後では、その官憲がジャニーズ事務所の圧力を暗喩しているようにも見えます。史実ではスズ子のモデルである笠置シヅ子がジャズシンガーとして抑圧されていたのは事実であり、作中の描写は決して大げさではないのですが、草彅が羽鳥を演じていることにより、何やら意味深に感じられるというものです」(前出・芸能ライター)
戦後にはそれまでの様々な抑圧が一気に解放され、芸能界も大きく発展していった。「ブギウギ」でも今後、そういった展開が描かれるはず。それはジャニーズ事務所の崩壊後、数多くの男性アイドルたちが歌番組に出演するようになった現状を反映しているように見えるのかもしれない。