登場人物の誰にも共感できないのに、次はどうなるのか気になって見てしまうドラマが「燕は戻ってこない」(NHK)だ。
6月18日放送の第8話までをざっと振り返ると、1000万円で代理母を引き受けたリキ(石橋静河)だったが、基(稲垣吾郎)からの無神経なメールに腹を立て、かつての不倫相手・日高(戸次重幸)、元・女風セラピストで現在は友人となったダイキ(森崎ウィン)と次々にベッドイン。その後、人工授精を行い見事に受精した。しかも双子を。
が、現段階でリキのお腹に宿った双子の父親は誰かわからない。そのことをリキから打ち明けられた悠子(内田有紀)は、重すぎ事実と言って基に種明かし。基はリキに中絶を望むようになる。しかしリキが病院からもらった胎児の映像を悠子が借り受け、基に郵送。胎児の映像を見た基は、リキに「産んでください!」と電話を入れたのだった。
「ネット上には、リキが痛い目に遭うことを待ち望む声や、悠子の口の軽さや卑怯さを指摘する声と同時に、稲垣吾郎演じる基に、これまでには聞くことのなかった『登場人物の中でギリ好感が持てる』『共感はできないけど同情する』といった声があがっています。これまでは自身の遺伝子を残すことを優先するあまり、命の尊厳を無視した言動ばかりをくり返していた基が、双子の胎児の映像を見て、リキに出産を望むように心変わりしましたからね。リキのお腹にいる双子を、登場人物の中で唯一“命”として敬意を払った基の涙に、視聴者はやっと“救い”を感じたのかもしれません」(テレビ誌ライター)
残すところ2話。視聴者は基に好感を持ったまま最終回を迎えるか。
(津島修子)