松坂桃李が主演を務める日曜劇場「御上先生」(TBS系)が、高い評価を受けている。「御上先生」は、東大卒のエリート文科省官僚・御上孝が主人公。御上が天下り斡旋の濡れ衣を着せられ、新たに設けられた官僚派遣制度で私立高校へ左遷されたことから物語がスタートする。ドラマは、殺人事件をキッカケに文科省も深く関わる騒動へと発展するストーリーで、初回から高視聴率をマークしている。1月26日に放送された第2話では今後につながるような大きな展開を見せ、視聴者はSNSで考察合戦を繰り広げている。話題を集める「御上先生」だが、なぜそんなに人気となっているのだろか?
「松坂の演技が良く、岡田将生、吉岡里帆など若い世代にも人気が高い俳優を起用しているのがプラスになっている。また、生徒役にも演技派の奥平大兼をはじめ、朝ドラが決まっている髙石あかりや、窪塚洋介の息子・窪塚愛流など注目の若手が勢ぞろいしている。日曜劇場らしく豪華な俳優陣で、重厚なテーマに挑んでいます。脚本も、今流行りの伏線回収を多く設定しており、文科省という誰しもが関係する省庁を舞台にしているところも視聴者の興味をひいています」(民放関係者)
そんな絶好調の「御上先生」だが、作品のヒットをきっかけにTBS社内では、とある動きが出始めているという。それが、日曜劇場の予算削減だというのだ。ドラマが好調なのに、なぜ予算削減が叫ばれるのか? 裏側を、キー局の編成担当が明かしてくれた。
「『御上先生』は、主に学校を舞台に撮影しているので、リーズナブルに作られている。壮大なセットで撮影した前作の『海に眠るダイヤモンド』と比べると、かなり少ない予算で撮影できているとか。そんな事情もあり、日曜劇場ほどの大作でも予算を削って作れるのではないかと、上層部が考え始めたそうだ。これまで日曜劇場は、視聴率が良いことで、予算は無限に使えると噂されてきた。ただし、テレビ事業の収益悪化はどこも同じで、日曜劇場だけ特別扱いするのはいかがなものかとTBS内で問題視されていた。そんな中、『御上先生』がヒットしたことで、低予算でも脚本と役者が良ければ視聴率は取れることが証明された。『海に眠るダイヤモンド』の視聴率が悪く大失敗したことから、予算削減の声はより大きくなっている」
確かに、「VIVANT」のように予算をかけて制作し大ヒットしたドラマもあるが、予算削減の波には抗えないようだ。
「『VIVANT』は続編が噂されていますが、キャストも豪華なので予算が集まらず話が進まないといわれる。それくらい、ドラマ制作の現場は厳しい現状だ。なので、ドラマではなく予算が組みやすい映画にするというプランもあるとか。最近ではNetflixがドラマに莫大な予算を投下するので、日曜劇場が同じことをしていては負けてしまう。結果として、なるべく予算をかけない設定のおもしろい脚本を作れと、上層部から指令が出ているというのです。そういった意味では、『御上先生』は脚本がおもしろい上に、ギャラが安い若手の有望株を多く出せる設定になっている。今後は、『御上先生』の作り方がお手本になりそうです」(前出・民放関係者)
フジテレビの問題もあり、テレビCMの集広がどんどん厳しくなる中、日曜劇場だけ特別扱いというわけにはいかないようだ。
(渡邊伸明)