放送中のドラマ「プライベートバンカー」（テレビ朝日系）を見ながら、フジテレビ黄金期時代に主役を張っていた役者が3人も出演していることに気が付いた。
主役の大富豪しか相手にしないプライベートバンカー・庵野甲一を演じる唐沢寿明といえば、2003年10月から翌04年まで2クール放送された「白い巨塔」で演じた財前五郎がすぐに思い浮かぶ。そんな唐沢演じる庵野の助手役を買って出た「だんごの鶴松」の二代目社長・飯田久美子を演じる鈴木保奈美は、1991年放送の「東京ラブストーリー」で赤名リカを演じ、一躍人気女優となったことは言うまでもない。唐沢演じる庵野がプライベートバンカーとして依頼を受けた大富豪の天宮寺一族の長女の婿・天宮寺宏樹を演じる玉木宏は、ドラマが大ヒットして映画まで製作された「のだめカンタービレ」シリーズで演じた千秋先輩こと千秋真一で大当たり。人気と実力を身につけたと言えるだろう。
つまり、フジテレビと蜜月だった役者がテレビ朝日に民族大移動を図っているようにしか思えないのだ。2023年7月期に放送された伊藤沙莉主演「シッコウ！！～犬と私と執行官～」（テレビ朝日系）に出演していた織田裕二もその1人だ。この「フジテレビ主役級役者の民族大移動」は、年齢とともにギャランティーが上がった役者を起用することが難しい台所事情のフジテレビと、「相棒」（テレビ朝日系）に替わるロングヒットを狙える落ち着いたドラマを模索しているテレビ朝日との間に、見事な「需要と供給」が成立してしまったとも言える。
そろそろ福山雅治、堤真一、柳葉敏郎あたりがメインキャストのテレ朝ドラマも始まったりして。
（森山いま）
