Q:3歳8カ月の息子です。家では生まれたときからよく泣く子でした。でも、なぜか人前では愛想がよくぐずつきもしません。他所の親御さんからは「手のかからないお子さんですね」とよく言われます。心配なのは、外に出るとすごくおとなしくなってしまうことです。
勝手に私から離れるようなことは決してありません。初めての遊具にはなかなか近寄りませんし、高い所によじ登ることもしません。他のお子さんのように、お店のなかでお菓子を買ってほしいと駄々をこねることも、おもちゃがほしいと言ったことも一度もありません。
でも、保育園に行きたくないということはなく、お友達に意地悪されてもやり返さず、ちょっと半べそをかくくらいだそうです。
息子には持病があり、0歳児の間は定期的に検査をし、1歳になるのを待って手術しました。入院した病院は完全看護で夜のつき添いはできませんでした。もしかしたら、このような時期に、家族と離れ離れになったことが影響しているのでしょうか?
A:生まれてから1歳ごろまでは、親子の信頼関係を築く時期です。「親が近くにいないと、とにかく不安」という状態から、徐々に、「視界の中にいれば安心」、そして「離れた場所にいてもひとり遊びができる」という段階を経ることによって、親への信頼を深めていくのです。
保育園へは嫌がらずに行っているようなので、お子さんにとって保育園は安心できる場所なのだと思います。
病気のためとはいえ、親のいない場所に置いていかれたという体験は、子供の心に大きな影響を与えてしまったようです。その不安から、お母さんのそばを離れたがらないのでしょう。
今の息子さんの心理としては、いつお母さんと離れ離れにされるのか不安で仕方ない状態です。だから、家の中では自由に動きまわって遊ぶことができますが、外では母親から離れたくないのです。この気持ちが消えるまで、親子関係を築き直す気持ちで、子供が満足するまで息子の望み通りにしてあげることが必要です。
子供は、成長するに従って徐々にお母さんから離れていきます。いわゆる親離れです。たとえ標準年齢より遅かったとしても、そのタイミングは子供の意思に任せてあげてください。
たとえば、毎晩添い寝をしないと眠らなかった子が、眠くなると自分からベッドに入るようになります。これが親離れのサインです。このサインが出るまでは、無理に1人で寝かせることはしないほうがいいでしょう。
外遊びのときに慣れない遊具で積極的に遊ばないのは、自己防衛本能です。自分にはまだ無理だと思っているから、その遊具を使わないだけなのです。必要以上に心配することはありませんよ。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)