Q:3歳と1歳の娘がいる共働き夫婦です。長女が甘えたいのはわかるのですが、仕事と家事と乳児の世話で疲れ切っています。夫はコンビニを経営しているので、家にいてもバイトへの指示などを出していて、24時間気の休まることがないほど働いています。そんな夫に子どもの世話や家事を頼むことはできません。家事と育児に専念したいのはやまやまですが、夫のコンビニの手伝いもあるので、専業主婦になるのはとても無理です。そのせいかいつもイライラしていて、長女にキツく当たってしまいます。ただ甘えたくて抱っこをせがんでいるだけなのに、無視したり、叱ったりしてしまいます。最初はおとなしくしてくれたのですが、長女が叱られることに慣れてしまっていることに最近気づきました。少々強く怒っても平気な顔をしているし、話して言い聞かせようとしても無視していることがほとんどです。そんな長女を見ていると、ちょっと怖くなってきました。
A:2人の子どもの世話と家事と仕事で、きっとお母さんはクタクタなのでしょう。しかも、夫の助けは望めない状況とのことなので、疲れがピークに達しているのだと思います。たいへん頑張っているお母さんに向かって酷なようですが、怖いのは長女ではなくお母さん自身です。このままでは、これから一生、長女から拒絶される人生を覚悟しなければならなくなります。長女の精神状態が心配なケースです。
長女の心理を考えると“何が悪いのかわからないよー。どうすればママは優しくしてくれるんだろう?どうすれば褒めてもらえるのかなぁ。でも、もういいや。ママを無視していればこれ以上傷つかずにすむから…”と、混乱しながらも、母親を無視することによって自身を守っているのだと思います。
まず、ご相談者は自分と向き合って考えてみてください。娘たちに向かって「わたしがママでよかったね」と言えますか?“自分の娘に生まれて、この子たちはなんてラッキーなんだろう”と思えるのか、自身に問いかけをしてみてください。
長女が自分の娘に生まれた幸運は、あなたが長女と出会えた幸運です。家事はやらなくても死ぬことはありません。一刻も早くこの状態から抜け出すために数時間でもいいから長女とだけ向き合い、自分の長女に対する行動を振り返ってみましょう。
現在、上の娘さんはずいぶん追い込まれた精神状態にあります。この関係を打破するには、お母さんひとりでは難しいかもしれません。夫の助けを望めないのであれば、両親、親戚など、頼れる人をもう一度探してみてください。各地域には児童相談所があるので、育児教室や、子育てホットラインなどのサービスを調べて積極的に利用することも検討してください。他人に話を聞いてもらい愚痴を吐露するだけでも、イライラは解消されるものです。
毎日忙しいでしょうが、時間は作るものです。現在の状態を変えない限り、長女の危機的状況は悪化するばかりだということを忘れないでください。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)