3月28日に最終回を迎えたNHK朝ドラ「おむすび」。モデルとなる偉人がいない完全オリジナルドラマの今作。番組公式Xには、「将来に希望が持てず夢もなかった結が、多くの人と関わり、“人生は楽しんでいいんだ”と知りました」などとポストされているが、「そうだったんだ…!」とがく然としている。
橋本環奈演じる主人公・結は、ドラマの序盤で「家業を継ぐ」と言っていたけれど、あれは希望も夢もない悲壮な決断だったんだと最終回を視聴し終わってから知った。ネット上には、「被災体験がある家族の再生と日常を描いた良作」「大いなる批判も含めて現代という時代と人間を描いた優れた作品」「とても誠実に今を切り取ったいいドラマだった」などと称賛の声もあがっているが、とりあえず3月26日放送の第123話にブチ込まれた、阪神・淡路大震災で亡くなった幼なじみの渡辺真紀ちゃん(大島美優)とそっくりな15歳の孤児・田原詩(大島/1人2役)を、結(橋本)の姉・歩(仲里依紗)が「未成年後見人」として引き取りたいと言い出したことに物申したい。最終回の2話前にブチ込む内容だろうか、これが。もっとじっくりやるべき重要案件だよね、これは。
さらに詩(大島)は25日放送の第122話で「私、大勢で食べるの苦手で…」と、結、翔也(佐野勇斗)、花(新津ちせ)、歩と一緒に卓を囲んで1つの鍋で「すきやき」を食べている4人にポツリと告白。これは「会食恐怖症」と呼ばれる現代ならではの不安症状の1つなので、詩はどうやってこの不安症状を乗り越えていくのかと期待していたら、最終回では何事もなかったように同じメンツ4人と卓を囲み、1つの鍋で「そうめんちり」を食べるシーンが流れ、体中にトリ肌が立った。というより、寒イボと言ったほうがいいかもしれない。寒さから体を守ろうとして体毛が立ってしまった。
それほど「会食恐怖症」をなかったことにされたことにゾワッとしたのだ。結論から言えば、「おむすび」は私の体には合わなかった。だって寒くなっちゃうんだもん。新しく始まる「あんぱん」が体に合うといいな。
(森山いま)