コンサートツアーを区切りに2026年での活動終了を発表している嵐。ツアーチケットは今から争奪戦が予想され、改めて嵐が国民的人気グループであることを証明しているが、これまでの歴史を振り返れば、歌とともに、バラエティ番組での活躍が人気のキッカケを作ったことは間違いないところだろう。中でも、長く放送が続いた「嵐にしやがれ」(日本テレビ系)と「VS嵐」(フジテレビ系)は、嵐の人気を決定的なものにしたと言えよう。
まず、2010年4月から20年12月まで続いた「嵐にしやがれ」。毎回豪華ゲストを呼び、嵐のメンバーが体を張って挑戦するロケ企画や料理対決などを放送した。この番組は、長い放送期間で各メンバーに合わせた企画を数多く生み出し、5人の性格や得意ジャンルがしっかりと世間に定着することに貢献した。例えば、櫻井翔はしっかりと司会・進行が行えることを証明。松本潤は、「MJ倶楽部」や「THIS IS MJ」などの企画で、カッコよさを前面に出して笑いを取るスタイルを確立した。相葉雅紀は、「ツーリング企画」や「代行調査」など、タレントや一般人と交流を深める企画が多く、その親しみやすい性格をしっかりと周知することに成功。二宮和也は番組内で参謀的なポジションとなり、現在につながるアイデアマンとしての才能を開花させた。大野智に関しては、メンバーやゲストからもイジられるポジションとなり、癒やし系キャラであることをアピールできた。
「嵐にしやがれ」が画期的だったのは、視聴率も獲得できるおもしろい企画を放送しながら、嵐の各メンバーのPRもしっかりと行えたことだ。かつて、SMAPが「SMAP×SMAP」(フジ系)で個々のメンバーの魅力を視聴者に伝えたように、嵐は「嵐にしやがれ」で5人のメンバーがそれぞれどんなキャラなのかをアピールすることに成功。結果、各メンバーの持ち味が視聴者に理解され、個人で出演する番組に活かされていった。現在まで続く人気の基盤を作ったのだ。
一方で、全く違った角度から嵐の人気を強化したのが「VS嵐」。こちらも、08年4月から20年12月まで続いた長寿番組だが、さまざまな企画を放送した「嵐にしやがれ」とは違い、一貫して嵐がゲストとともにゲームを行う内容。とにかく嵐の5人が最後まで楽しそうにゲームに参加していた姿が特徴的で、長くグループを続けていれば多少はメンバー間の不協和音も聞こえてくるものだが、嵐は番組を通じて、視聴者に常に特別な絆で結ばれた仲の良さを見せ続けた。ファンはより嵐を応援しようという気持ちになっていただろう。最終回に登場した妻夫木聡は「VS嵐」への参加を熱望していたと話していたが、多くの芸能人に嵐が愛されるキッカケを作った番組とも言える。嵐は「VS嵐」を長く放送したことで芸能界の中でもファンを増やし続けたことになる。
嵐の人気を不動のものにした双璧と言える2つの番組。来年、有終の美を飾るまでの間に、どちらか、一夜限りでも特別番組が実現しないかと多くのファンは期待していることだろう。
(渡邊伸明)