「世間を説得するためにヒット作は必要」漫画家・あだち充74歳が語った「タッチ」以降の価値観の変化
「デビューしてしばらくの間は、漫画家を名乗るのはすごくイヤでしたよね。ある程度いっても、漫画家ですって言うと必ず『何描いてるの?』って聞かれるし。たまたま30歳ぐらいで『タッチ』という作品がある程度認められたんで、わかってくれる人が多くなったんだけど…」
「タッチ」「みゆき」「ナイン」「陽あたり良好」などヒット作多数、人気漫画家・あだち充氏が、YouTubeチャンネル「ほぼ日の學校」に出演(7月2日付)。漫画家を名乗ることがイヤだった無名時代に思いを馳せ、コミックスの総売上1億部を突破したあだち氏にとって最大のヒット作となった「タッチ」以降では価値観に変化があったことを振り返った。
「逆に、その頃までヒット作はいいやと思ってたんで、好きな漫画描いて暮らせるんだったら問題ないやと思ってたんですけど…。聞かれた時に、ある程度、世間みたいなものを説得するためにはヒット作は必要なのかなとか思い始めたのが30歳ぐらい」(あだち氏)
「タッチ」連載開始の1981年、あだち氏は30歳を迎えたばかり。あれから40年余りが経過した今も、少年誌で連載を続けていることについては、こう語った。
「“少年漫画でずっと”というのも、我ながらすごいなと思います。少年漫画の読者はどんどん若くなっているので、本当は読者と一緒に年取って“上”(青年誌など)にいっちゃった方がラクなのかなとか考えたんだけども、少年漫画にこだわってみようということで、ここまできてます」
WEBランキング「みんなのランキング」が、あだち氏の漫画人気ランキングを発表(7月2日付)。それによると、3位が「タッチ」、2位が「クロスゲーム」、1位は「H2」だった。「クロスゲーム」は週刊少年サンデーで2005年から10年まで、「H2」も同誌で1992年から99年まで連載された。ちなみに、12年から連載中の「MIX」が掲載されているのは月間少年漫画誌「ゲッサン」。
御年74歳のベテラン漫画家の初志貫徹ぶりには頭が下がる思いだ…。
(所ひで/YouTubeライター)
