出産後、大きく驚いた経験の一つに「授乳」があります。出産をすれば自然と母乳が出るようになり、当たり前のように子どもが飲むと思っていたのに……。筆者にとっても子どもにとっても、授乳は初めての経験。上手に飲ませるまで、かなりの時間と戦いを要しました。
見落としがちですが、赤ちゃんは生まれてきた瞬間から母乳を上手に飲めるわけではありません。もちろん、母乳に吸い付く反射をもっていますが、実際には経験はないのです。
出産後、助産師さんのアドバイスを受けながら授乳の練習を行うことが多いですが、赤ちゃんがうまく吸えなかったり、乳首の形や大きさが赤ちゃんの口の形や大きさと合わなかったりすることで、うまくいかないことも多いそうです。筆者は、おっぱいを近づけると嫌がって泣き叫ばれる日々が数ヵ月続きました……。
子どもが授乳初心者ならば、母親も負けず劣らず初心者です。母乳が効率よく赤ちゃんの口から吸い出されるには、赤ちゃんの顔の向きや口への加え方が大切。赤ちゃんが上手に吸えるようにするには、実はお母さんの抱き方や乳首の口への入れ方などが重要なのですが、コツを掴むには試行錯誤が必要な場合が多いそうです。
母親や赤ちゃんがコツを掴んですぐに順調に授乳ができることもありますが、赤ちゃんの口が大きくなったり吸い方が上手くなったりするのを待たねばならない、母乳の出が悪く赤ちゃんの機嫌が悪くなってしまい長時間練習ができないなど、ハプニングが起こることもあります。
母乳育児を希望している場合、母乳がたくさん出ることや赤ちゃんがすぐに吸えるようになることを当たり前だと思っていたりすると、理想と現実のギャップに心が苦しくなってしまうこともあります。育児を苦しいものにしないためには、「初心者だから、失敗するかもしれないし、時間がかかるかもしれない」と、知っておくことが大切かもしれません。
(Nao Kiyota)