心理学は「人」が考えたもの。考えた人によって意見が違いますから、ひとつの事柄に対して違うメソッドが生まれてくる場合もあります。
例えば、自分が好かれたいと思う相手がいた場合、その相手に「優しくするほうがいいのかしないほうがいいのか?」。これは、その人に「報酬を与えるほうがいいのか与えないほうがいいのか」という、心理学の理論で説明することができるのですが、報酬をあげるほうがいいという専門家がいれば、報酬をあげないほうがいいという説もあります。ややこしいのですが、だからこそ面白いともいえるのです。
報酬を与えるほうが相手から好かれるのではないか、という考え方は、心理学でいう【オペラントの条件付け】で説明ができます。
これは、ある行動が当事者にとって肯定的な結果をもたらすと、その後似たような場面でその人がその行動を行なう傾向が高くなり、逆にその行動が当事者にとって否定的な結果をもたらすと、その後その行動を行なわなくなる傾向が高くなるという考え方です。
自分の意見を認められれば、その意見を持ち続けられる。でも、反対されると意見を持ち続けにくくなる。まったくもって他人に左右されるのが人間というものだなあというのが、オペラントの条件付けなのです。
一方、褒められるなどの報酬があると、かえってやる気をなくすという実験結果もあります。これは、社会心理学を専門とするベムの説です。
ベムによれば、もともとは楽しむためにしていたことであっても、報酬をもらうようになると、人間は“報酬をもらうためにしていること”というように考えるようになるのだとか。よって、その報酬がなくなった途端に、今までしていたことをしたくなくなるのだそうです。
このような心理説を恋愛にあてはめてみると、結局のところ「好きな人から好かれるには優しくするのとしないのとどちらがいいのか」という、なんともモヤモヤした気持ちになることと思います。
結論をいえば、「どちらも正しい」のです。違う人たちが研究をし、それぞれの結果が出ただけという話。心理学は数学ではないので、答えがひとつとは限らないのです。どちらの答えを信じるかはあなた次第。自分が信じるほうを決めたら、後はその方法でどんどん行動をしていくことが、恋愛成功の秘訣ではないでしょうか。
(恋愛カウンセラー・安藤房子)