北京五輪のフィギュアスケート競技はロシアのカミラ・ワリエワ選手のドーピング問題で、スケート競技に興味のない人たちも含めて大きな注目を集め、女子シングルのFSの瞬間視聴率は33.3%を記録したという。
渦中のワリエワ選手が、このような状態でもいつもの負け知らずの演技をするのか、坂本花織選手がメダルを獲得できるのかなど注目度の高かったFS。放送が日本時間で20時からというゴールデンタイムだったことも、高視聴率につながった一因だろう。
「フィギュアスケート男子シングル競技FSは日本時間の午前10時半のスタートで、女子シングル競技のスタート時間とは大きく異なりました。東京五輪でも競泳で異例の午前決勝となることがありましたが、今回も男子の場合は金メダルをとったネイサン・チェン選手の母国アメリカのテレビ局に配慮したのでしょう。午前中のスタートであれば東海岸の夜のゴールデンタイムに放送ができて、アメリカの視聴者が自国選手の金メダル取得をライブで見ることができますからね。逆に、今大会では米国有力選手のいない女子シングル競技は、メダル有力のロシアに配慮し、北京と5時間の時差のあるロシアでも視聴しやすい夜間のスタートにしたのではないでしょうか(女性誌記者)
とはいえ、実は日本の視聴率については、放映時間の影響をあまり受けていなかったという。
「ビデオリサーチの調査では、NHKが2月10日に放送した男子フリーの世帯視聴率は、平均で26.0%。瞬間最高視聴率が関東地区では32.0%だったそうです。平日昼間の放送なのにワリエワ選手の33.3%に肉薄する視聴率ですから、IOCとしては、アメリカに忖度しつつも、日本での視聴率も取れたので、万々歳ではないでしょうか」(前出・女性誌記者)
日本人選手の登場がお昼頃と視聴しやすい時間帯だったことも功を奏したということだろう。しかし、アスリートにとって競技しやすい時間ということが前提にならないことが当たり前になってしまった五輪は、もはや「興行」に堕してしまったと言わざるを得ないだろう。
(芝公子)