昨夏、「東京五輪2020」で開会式前日に降板を申し出て、一躍時の人となった竹中直人。すっかりほとぼりが冷め、映画、舞台、ドラマと順調な仕事ぶりを見せる竹中が大炎上騒ぎに巻き込まれていた。
舞台は石川県。6月4日に行われた「金沢百万石まつり」でのこと。竹中は前田利家に扮してメインイベントの百万石行列に参加した。コロナ感染予防対策で2年続けて中止され、3年ぶりに行われたまつりには、34万人もの観光客が詰めかけた。金色に輝く甲冑に身を包んだ竹中と正室のお松の方に扮した栗山千明は、金沢駅から金沢城までの3キロをパレード。沿道のあちこちから熱い声援がとび、2人はポーズを決め、笑顔で手を振るなど大サービスした。
「昨年選ばれたものの、中止になったため、仕切り直しの参加ということでした。2年ごしということや、久々の有観客ということもあって2人とも大張り切りだったようです。前日の下見やマスコミ取材も笑顔でこなして熱い意気込みを語っていたほどです。終了後、竹中は『皆さんのエネルギーが明るく心地よかった。マスクの下の満面の笑みが想像できた』と上機嫌そのもの。大役をやり遂げた達成感に満ちあふれていました」(芸能ライター)
ところが、竹中に対する憤懣がネットでは渦巻いていたのだった。それは、イベントの2日後にアップされた記事によって始まった。その記事は3年ぶりの開催を喜ぶ一方で、竹中と栗山の撮影を禁止した運営側の措置に、「正直興ざめ」という不快感たっぷりの見出しをつけて疑問を投げかけたものだった。
「まつり開催1週間前、公式サイトに『肖像権保護のため写真撮影・録画及びSNSへの投稿をご遠慮ください』という一文が掲載されました。当日、竹中と栗山の周囲には『撮影禁止』と書かれた無粋なカードを掲げる関係者がべたつき。『撮影はご遠慮ください!』と大声を張り上げ、スマホやデジカメを向ける観光客を威嚇していました。事務所からの申し入れということではなく、運営側が自主規制したようです。SNSでの肖像権をめぐるトラブルが多いため、関係者で協議のうえ撮影禁止を決定したそうです。議論百出し、決定が延びたことから、十分な周知ができなかったと反省していました。この異例の措置が今回限りになるかは未定だといいます」(芸能ライター)
3500円の有料観覧席を購入した人や2人を撮影しようと早朝から席取していた人は、突然ダメ出しされてショックだったに違いない。この周知の不徹底が尾を引き、ネットは大荒れに。「来年からは撮影オッケーの俳優さんにして下さい」「こういう各地で開催される大きなお祭りに出る俳優さんや女優さんは、肖像権がどうやこうや、SNSがどうしたこうした言わない人を起用してほしい」というもっともな意見から、「最初から地元民などどうでもよくて、自分達の利益だけしか考えない人達なんだろうね、演者も事務所も。ガッカリさせられました」という落胆の声も。はたまた公式サイトで2人の写真を掲載、SNSにもアップしていることから、八つ当たりも。
「主催者側は断りもなく観客を撮り続けてますが、実際撮られたくない人だっているし、勝手にニュースで使われたりするのはさらに不快。タレントの肖像権を主張するなら、観客の姿も勝手に撮るなっ!」というお怒りの意見も飛び出した。
このお祭り、かつては一般公募したこともあったが、盛り上がらず。芸能人を起用したところ、認知度も集客力も格段に違ったため、毎年起用されることとなった経緯がある。
ともあれ貧乏くじを引いたのは、竹中だ。わざわざ地方に出向き、満面の笑顔をふりまき、好感度アップを狙ったものの、印象は最悪に。「竹中直人ってそんな人だったんだ。好きな役者さんだったけどもう見たくないな」というコメントまであがり、骨折り損のくたびれ儲けとしか言いようがない。栗山も番傘の下、和装で黒い洋傘をさしていたことがひんしゅくを買い、「日傘をさした女優を見たいのではない」と名指しで批判されていた。
イベントといえば、これまでは警備第一だった。SNS全盛の折り、肖像権保護についても徹底的な論議が必要な時代となった。
(塩勢知央)