第76回カンヌ映画祭で、日本人俳優として2004年に「誰も知らない」で主演した柳楽優弥以来、19年ぶり2人目の最優秀男優賞を受賞した役所広司。名匠ヴィム・ヴェンダース監督による作品「PERFECT DAYS」での演技が評価された。
同作品で、役所は主役である東京・渋谷の公共トイレ清掃員・平山を好演。平山は古びたアパートに一人暮らしで、仕事に対して同僚から手を抜くことを勧められてもそうせず、丹念に掃除をするような男で、カセットテープで音楽を聴き、古本屋で買った文庫本を読み、フィルムカメラで木々を撮る。そんな日常に喜びを感じて暮らしていたのだが、思わぬ再会から心を揺らす平山が、ドキュメンタリータッチで描かれている。
「役所の素晴らしいところは、日本を代表する役者でありながら、誰に対しても腰が低く、サービス精神旺盛で優しいところなのだとか。そのため多くの記者が役所を取材後、メロメロになってしまうそうです。昨年6月に公開された主演映画『峠 最後のサムライ』の完成披露試写会後に、当時はまだ放送されていた朝のワイドショー『スッキリ』(日本テレビ系)のインタビューに応じた役所は、その中で『ボクは普段スーパーに買い物に行く時に、ついしてしまう“あること”があります。周りからは驚かれるのですが、その“あること”とはいったい何でしょう?』というクイズを出題したんです。その答えは『自分がCMに出演した商品のチェックをする』。役所は『つい何となく見に行っちゃう』そうで『あ~減ってるな、とか。そこを通り過ぎる時、ちょっとドキドキするんですよ』と告白。さらに『意外とスーパーは好きなんですよ。スーパーは特にこの(コロナ禍による)自粛期間、家にいることが多かったので結構まとめ買いしたり。スーパー楽しいですよね』と、庶民感覚あふれるエピソードを明かしたんです」(女性誌記者)
日々の暮らしの中で喜びを見つけることが上手な役所。「PERFECT DAYS」の平山を演じてカンヌ映画祭最優秀男優賞を獲得できたのは、当然と言えば当然のことだったのかもしれない。