今年も「24時間テレビ」(日本テレビ系)の季節がやってきた。毎年、有名人のみならず、障害や難病と闘う人、被災者などがさまざまな難題に挑戦し、苦労を乗り越え達成する、チャレンジ企画が話題になる。しかし、過去において“汚点”を残したことも、心の片隅に留めておきたい。
13年の「24時間テレビ」でのこと。人気のチャレンジ「富士登山」は震災で被災した子どもたちが挑戦する企画だった。ところが、
「子どもたちの登山なのに、一般的には五合目からスタートする登山を1合目から、しかも6合目に1泊だけで登頂させるという過酷なコース」「悪天候なのに引き返させず、最後には風雨でカメラのレンズが曇り子どもたちの姿が見えないほどなのに、登り続けさせた」「人混みを嫌ったのかマイナーなハードなコースを選んだ」など、ネット上には非難の声が殺到したのだ。
「山の天気は変わりやすく、悪天候では同じ道が悪路に早変わりし、事故や遭難が起こりやすくなります。ですから、山に慣れた人は、“撤退する勇気”を持っているんです」(旅行雑誌編集者・登山インストラクター)
放送では、撤退どころか励ますばかりで下山の考えなど毛頭ない様子だった。
「テレビ的には、苦労を乗り越えて成功した! という絵が不可欠なのでしょうが、それが透けて見えてしまい、さらに参加した子どもたちの身の安全が心配になるような企画。『24時間テレビ』全体の欺瞞が見えてしまったように思います」(テレビ番組制作スタッフ)
昨年は9億円強、一昨年は15億円強の募金を集める、チャリティ精神が源の一大イベント。過去の失敗に学び、本末転倒な番組にはしないでほしい。