「たくさんの声があるというのは自分自身も知っていますし、その中でも差別的な発言というのは控えていただきたいなというふうに思います」
アジアカップ2023のグループステージ第2節のイラク戦で痛恨の2失点。1―2の敗戦の圧倒的な戦犯として批判を浴びてしまったGK鈴木彩艶(ざいおん)が苦言を呈した。
ガーナ系米国人の父と日本人の母を持つ鈴木は、第1節のベトナム戦でも勝利はしながら2失点。ここ最近の親善試合で、すっかり世界の強豪の仲間入りをしているかのように感じていた日本代表ファンから鈴木の力量について疑問の声が上がっていたが、イラク戦でも続けて2失点。しかも開始4分で献上したイラクの先制点が鈴木のパンチングで弾いたボールを直接ヘディングでねじ込まれるという、ファンも呆然の失点だったからだ。
「これでグループステージ1位がなくなりました。確かに批判されてもおかしくはないプレーもありましたが、そんなプレー内容への批判の一方、自身への差別発言を『SNSを通して受けた』と報道陣に明かしたんです。続けて、『自分としては負けるつもりはない。結果で見返してやろうかなという気持ちですね』と強い思いを口にしていましたが、鈴木のコメントが拡散されると、アジアカップで差別発言があったとネット上で騒然となり、それが日本で起きたこととわかって失望する声も目立ちます」(スポーツ誌ライター)
鈴木への差別的中傷に心を痛めたサッカーファンからは「ザイオン応援してるぞ!」といった次のインドネシア戦での巻き返しを祈る声が上がっている。また、自身がGK経験者というサッカーファンからはむしろ敗北の戦犯として、他の選手名が続々と挙がっているという。
「鈴木のプレーを褒めることはできないとしながらも、押し込まれるDF陣や、チャンスでことごとく得点できなかった攻撃陣を“戦犯”に挙げる人がかなりいますね。DF菅原由勢、また、特にチャンスで得点の匂いをさせなかった堂安律のFKに対してはキックスピードのなさに『ショボすぎる』と愕然とする声が多く、そこを敗因に挙げる人も少なくありませんでした。元日本代表の田中マルクス闘莉王氏は、自身のYouTube動画で堂安を『才能ない人間はボールに近寄るな』とまでバッサリ。それ以外にも浅野拓磨、上田綺世、前田大然を『トリプルヘボ』とボコボコに言ってましたね」(前出・スポーツライター)
1月23日にカタール・ドーハで会見を開いた森保一監督も鈴木への差別的発言に強く抗議していた。鈴木はもとより、日本代表には、強い意志で逆風をはねのける活躍を期待したい。
(飯野さつき)