いくら昭和25年の話とは言え、さすがにこれはあり得ないのではないだろうか。
2月26日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第102回では、ヒロインのスズ子(趣里)が女優業の恩師であるタナケンこと棚橋健二(生瀬勝久)の大怪我を知り、驚く場面で幕を閉じた。その描写にむしろ、視聴者のほうが驚いていたという。
タナケンは喜劇王の異名をとる人気者で、前週の放送ではスズ子を映画「タナケン福来のドタバタ夫婦喧嘩」の相手役に抜擢。同映画を撮影している条映撮影所は、21年後期の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の舞台にもなった映画会社であり、東映をイメージした大手だ。
そんな話題作で共演したとなれば、スズ子とタナケンの関係性はよほど密接なはず。ところがスズ子がタナケンの怪我を雑誌の記事で知ったというのだから、これには視聴者も開いた口がふさがらなかったことだろう。
「昭和25年にはまだテレビ放送がないものの、タナケンほどの大物が怪我で入院となれば、ラジオや新聞でも報じられそうなもの。雑誌記事には『現在予定されていた公演はすべて中止となり、再会は未定とのこと』と書いていましたから、たとえ怪我や入院のことを隠していたとしても、世間には噂が広がることでしょう」(芸能ライター)
よもやスズ子は新聞を取っていないのか。もっともブギの女王として国民的な人気を博す彼女であれば、新聞もろくろく読むヒマがない可能性はあり得る。
だとしても、タナケンの怪我を雑誌の記事で知ることはやはり、あり得ないのではないだろうか。
「ダブル主演映画で共演したスズ子とタナケンの関係性なら、関係者を通じて彼女に連絡がいきそうなもの。その描写がないのはあまりにも不自然です。おそらく本作の制作陣はさほどの考えもなく、スズ子が雑誌でタナケンの現状を知るという筋書きにしたのでしょう。そのおかしさに気が付かない時点で、芸能人を描くドラマとしては失当ではないでしょうか」(前出・芸能ライター)
もしマネージャーの山下(近藤芳正)がゴシップ誌の真相婦人を読んでなかったら、スズ子は未だに恩師タナケンの病状を知らなかった様子。よもや周りから女王様と持ち上げられるなか、すっかり浮世離れした生活を送っていたということなのだろうか…。