ついにその人物を描くのか? 一気に注目を集めることとなりそうだ。
3月1日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第106回では、ヒロインのスズ子(趣里)が大ヒット曲の「買物ブギー」を初披露。準備に一カ月半もかけたという圧巻のステージで視聴者を圧倒してみせた。
本編終了後の次週予告では、スズ子が「アメリカでっか!?」と驚く声に続いて、作曲家の羽鳥善一(草彅剛)が「ワーオッ!」と大興奮しながら叫ぶ様子を紹介。どうやら本作のモデルである笠置シヅ子が昭和25年に行った海外巡業の「アメリカ横断公演ツアー」が再現されるようだ。
笠置のアメリカ巡業はハワイを皮切りに、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨークとアメリカ大陸を横断。4カ月にもわたって公演を続け、大成功を収めたという。作中でその規模がどれほど再現されるのかに期待も高まるなか、NHKがあの人物を登場させるかどうかに注目する向きもあるという。
「笠置のロサンゼルス公演は、高野山米国別院に併設された高野山ホールで開催されました。この時、一行の身の回りを世話していたのが、同ホールでステージボーイを務めていた喜多川擴氏。のちの故・ジャニー喜多川氏だったのです。父親が同院の主監を務めていたジャニー氏は一行のツアーに通訳として同行。笠置や作曲家の服部良一氏と親交を深めていきました」(芸能ライター)
アメリカ国籍も持っていたジャニー氏はその後、米軍属として来日。少年野球チーム「ジャニーズ」のコーチを務め、後には芸能界にも進出した。その際には笠置や服部氏との交流が大きな後押しとなったのである。
ジャニー氏自身も笠置の熱心なファンとなり、ジャニーズ事務所の所属タレントたちに「東京ブギウギ」や「買物ブギー」を歌わせていたのはファンにはおなじみのエピソードだろう。
1931年(昭和6年)生まれのジャニー氏は、アメリカ巡業の昭和25年時点ではまだ十代の青年だった。ステージボーイという名の雑用係だったわけだが、アメリカ巡業をしっかりと描くのであればジャニー氏の貢献もまた描写されるべきではないだろうか。
「とはいえジャニー氏による性加害事件がこれほど世間をにぎわせたなか、同氏を肯定的に描くことは困難でしょう。あえてスズ子のステージのみを描き、関係者の存在を隠す可能性も高そうです」(前出・芸能ライター)
ジャニー氏の存在を前提に考えると、なぜマネージャーの山下(近藤芳正)がふわっとした理由で辞任し、甥の柴本タケシ(三浦獠太)を後任に据えたのかも分かるというもの。すなわちジャニー氏の代役として、タケシがアメリカ巡業中にスズ子の身の回りを世話するという筋書きにしたのかもしれない。
逆に言えば、ジャニー氏の一件が世間をにぎわせていなければ、来週にはジャニー氏をモデルとした人物が登場していた可能性もある。朝ドラの企画は放送の1年以上前には動き出していることから、昨年の今ごろには登場人物の差し替えで制作陣が大騒ぎになっていたかも?