笑えない理由は人それぞれだったようだ。
3月9日に生放送された「R-1グランプリ2024」(フジテレビ系)にて、39歳の漫談家・街裏ぴんくが優勝を果たした。街裏は、絶対にウソだと分かるネタを大げさに展開する「ウソ漫談」を披露。その斬新さに審査員のハリウッド・ザコシショウは「このエネルギーが今のテレビに必要やと思う」とベタぼめだ。
一方で街裏のウソ漫談にはネット上で「少しも笑えない」「最低のネタ」といった批判も続出。面白いと評価する声は少なく、観客と審査員の乖離が目立つ結果となっていたこともまた否定できないだろう。
「お笑いでの評価では、観客と芸人のあいだで温度差が目立つケースは珍しくありません。街裏については他の芸人たちからも実力者と評する声が多くあがっており、いわゆる舞台袖人気は相当高いようです。ただ今回のウソ漫談を巡って、別の角度から批判する声もあがっている点は見逃せないでしょう」(芸能ライター)
面白いかどうかは主観の問題でもあり、視聴者が街裏のネタを「つまらなかった」と評していたのは、ある意味で表層的な出来事かもしれない。
だが街裏のネタに「怒り」を感じていた視聴者も少なくなかったとなれば、話は変わってくるのではないか。「面白くない」と「不快だった」では、評価の次元が異なってくるからだ。
ファイナルステージで街裏は、自分が「モーニング娘。」の初期メンバーになるはずだったというネタを披露。中澤裕子や石黒彩の実名を出しながら漫談を展開していた。この「ウソ」に、モー娘。好きのドルヲタたちは「ありえない!」との怒りを抱いていたのである。
「この怒りは実のところ、ファーストステージの時点から露呈していました。一本目のネタでは石川啄木や正岡子規といった歴史上の人物を取り上げていましたが、この時点で歴史好きの歴ジョや、文学好きの視聴者からは『こんなくだらないネタに実在の人物の名前を使うなんてフザけている!』という怒りの声があがっていたのです」(前出・芸能ライター)
ウソをつくのは構わないが、石川啄木にせよモーニング娘。にせよ、実在の人物を取り上げるのは、そのファンに対して失礼だとは思わなかったのか。街裏のネタにはリスペクトがないと、不快感を抱く視聴者が多かったのも無理はないようだ。