今期もっとも波に乗っている芸人といえば、千鳥の大悟。ノブとのコンビでは、約8年ぶりに復活した「すぽると」(フジテレビ系)でキャプテンに就任。大悟はソロで4月から「大悟の芸人領収書」と「開演まで30秒!THEパニックGP」(いずれも日本テレビ系))がスタートして、月曜日の夜は大悟でぶち抜き1時間だ。
今でこそメジャータレントの大悟だが、若手時代はまったく食えなかった。酒と煙草を愛し、人徳者であったため、多くの後輩から慕われた。飲みに連れていくと必ずオゴり、吉本興業の鉄のルール「先輩は後輩にオゴる」を忠実に守った。借金は雪だるま式に膨らんでいった。
そんな大悟に感謝してもし切れないのは、南海キャンディーズの山里亮太。実話誌ライターが言う。
「山里にとって大悟は、恩人。いなければ、とっくに芸人を辞めていたと断言するほどです。大阪時代は、後輩が大きなオーディションに受かるたびに、『お前ら今日、運いいな。たまたま金入ったぞ』と“回らない寿司屋”に連れていった大悟ですが、毎回消費者金融で金を借りていたことを、山里は知っていました」
そんな大悟が、山里の引退危機を救っているというのだ。南キャンは東京進出後、スランプから抜け出せないでいたが「M-1グランプリ2005」で初めて決勝戦に進出。しかし、まさかの最下位だった。山里は芸人を辞めようと、吉本の社員や大悟に報告した。
その頃千鳥は、東京進出後初のトークライブを控えていた。山里を「これだけは最後に出ろ」と出演させ、本番では山里にまつわるエピソードだけを披露。オチはすべて山里に話させると、会場は爆笑のるつぼと化した。大悟が「こんなおもろいヤツが辞めるんかい」と言うと、山里は「すみません、辞めません」と謝罪。大悟は、「お帰り」と再出発を歓迎した。
「胸アツエピソードに事欠かない2人ですが、山里の恩返しがまたイキでした。大悟さんが結婚した時、すでに多忙になっていた山里は結婚式に飛行機で来て、5分だけ顔を出して、すぐに飛行機で帰京。祝儀は50万円でした。その時に大悟が『お前が結婚した時に倍にして返すわ』と口約束すると、山里が女優の蒼井優と結婚した時、本当に100万円をポンと渡したそうです」(前出・実話誌ライター)
とどまるところを知らない大悟無双状態。お笑いテクだけではなく、“人柄貯金”もあると言えよう。
(北村ともこ)