興収86億円を叩き出し、日本アカデミー賞でも最優秀作品賞にも選ばれた「永遠の0」から3年。監督・山崎貴、原作・百田尚樹、そして主演も岡田准一と、まさに「ゼロの夢よ、もう一度!」と再結集した、邦画界の正月大作映画「海賊とよばれた男」が12月10日から満を持して公開された。ところが、メディアが「えっ!」と首をかしげる大コケムードが漂っているという。
「『シン・ゴジラ』『君の名は。』で盛り上がった今年の邦画界。言ってしまえばどちらも配給した東宝の一人勝ちですが、その東宝がトドメとばかりに正月でもトップを狙ったのが『海賊とよばれた男』。なんといっても『永遠の0』のスタッフ再結集ですからね。1位を走っている『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』、海外の高評価でまた客足を伸ばしている『君の名は。』を抜いて、10日~11日の週末興行ではぶっちぎりの1位を取るものだと、メディアも思い込んでいました。ところが、2日前の木曜日から始まった座席予約の動きが非常に鈍い。それは金曜になっても変わらず、『ファンタスティック・ビースト』はもちろん、公開16週目の『君の名は。』、子供映画『モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ』にも予約数で負けている状況です。356館で公開ですから、最終的には動員で2位か3位に食い込むことも考えられますが、期待値からすれば大爆死ムードが漂っているとしかいえません」(映画誌ライター)
原作もベストセラー、老若男女でファンの多い岡田主演、こん身の老けメイクなど話題も振りまいているが、やはり“あの男”の好感度の低さが予想以上に足を引っ張っているという声が多い。
「原作者の百田尚樹氏です。映画『永遠の0』の大ヒット以降、“暴れっぷり”がやたらと注目されるようになりましたが、それでも本は面白いという声があった。ところが、故やしきたかじんの未亡人を描いた『殉愛』でのドロドロ問題が勃発すると、政治的な過激言動を見逃していた世間も堤防が決壊。特に女性たちが百田氏に対して完全に引いてしまった。このイメージダウンは非常に響いている気がします。なにせ、今回の予告編には百田氏の名前が一切出ていない。その扱いに百田氏がツイッターで不満をぶつけていましたが、こうした不協和音が聞こえてくると、映画も爆死する可能性が十分にありえそうです」(エンタメ誌記者)
作品的にロングラン興行は間違いないだけに、もしもスタートでつまずいたら、あとは正月の年配客を見込むしか挽回の余地はなさそうだが、はたしてどうなるか‥‥。
(小机かをる)