今季のJリーグを良くも悪くも盛り上げ、シーズン最終順位を3位で終える健闘を見せたFC町田ゼルビア。J1最少失点である「34」に抑えた守備陣の活躍は突出していたが、12月10日に発表されたシーズンベストイレブンでは、同チームの選手が1人も選出されないという“まさかの事態”となっている。
Jリーグ年間表彰である「Jリーグアウォーズ」が横浜アリーナにて開催され、最優秀選手賞には2連覇を果たしたヴィッセル神戸の元日本代表FW武藤嘉紀が選ばれた。この選出に異論はないものの、様々な反響が寄せられたのはベストイレブンの面々である。
監督と選手による投票をベースに、最後は選考委員会に決定権が委ねられるベストイレブン。今年はGKに大迫敬介(サンフレッチェ広島)、DFに中谷進之介(ガンバ大阪)、佐々木翔(サンフレッチェ広島)、マテウス・トゥーレル(ヴィッセル神戸)、濃野公人(鹿島アントラーズ)、MFに武藤(ヴィッセル神戸)、知念慶(鹿島アントラーズ)、マテウス・サヴィオ(柏レイソル)、そして、FWにはアンデルソン・ロペス(横浜F・マリノス)、宇佐美貴史(ガンバ大阪)、大迫勇也(ヴィッセル神戸)ら11名が選ばれた。
これを受け、SNSでは、昇格1年目ながら3位でフィニッシュする躍進を見せた町田からの選出が1人もいなかったことに対する驚きの声が並ぶことに。
「町田の守備陣では、GK谷晃生が同部門で76票を集めて3位に入り、CB部門でも昌子源が40票を獲得し、5位に食い込んだものの、ともにベストイレブンには届かず。もちろん、選ばれた11人の面々は確かな活躍ぶりで、それに値するだけのパフォーマンスを見せていたことは事実ですが、Xには『3位の町田からは誰もいないのか…』『町田ゼロビアじゃん』とする声や、『そりゃしゃーないだろ』『選手と監督が選ぶ賞だからね。つまりはそういうこと』と“納得”だとする反応も続出。というのも、町田ゼルビアでは黒田剛監督のもと、終盤の時間稼ぎにも近いパフォーマンスや、PK時のボールへの水かけ、さらにスローイン時にタオルでボールを拭くといった行為が賛否を招き、他クラブの選手や監督、サポーターから顰蹙を買っていた経緯があります。よって、昇格1年目での大健闘がやや過小評価された可能性があり、今回のような結果につながったとする見方も散見されます。ただ、考えようによっては、選手個々のクオリティに依存せず、組織全体として誰が出場しても結果を残せるようなチーム作りができているという証明でもあるので、今回の結果にそれほど悲観的になる必要はないかもしれません」(スポーツライター)
史上初の「初昇格にして初優勝」という偉業は逃したものの、町田が見せた戦いぶりは多くのJ1強豪クラブを様々な意味で焦らせたことは間違いないだろう。
(木村慎吾)