Q:2歳の娘と公園に行こうとなって、いつものように私が靴を履かせようとしたら「イヤ」と言います。なので「公園に行かないの?」と聞くと、「イヤ」との返事。結局、公園に行きたいのだと思いもう一度靴を履かせようとしたら「イヤ、イヤ」と拒否されました。どうしていいかわかりません。
A:まず「イヤイヤ期」あります。むしろないほうが心配なんです。
この成長段階の精神面は自我が芽生え、ひとりの人間として意見や意識を持ち始めます。だから相手に対して肯定と否定が現れ、この否定が「イヤ」です。
また、行動としては、今までできなかったことができそうな気がしてくる時期でもあります。服を着る、靴を履くなど日常的に大人がやっていることは、自分にもできるような気がするのです。
そこで、チャレンジが始まります。もちろん、上手にはできません。もたついていると、大人が手を出してきます。子どもは「自分でやりたいからやらせて」と言いたいところなのですが、それほどの言語能力はまだありません。だから「イヤ」と言うのです。
つまり、最初の質問の「イヤ」は、手助けはいらないという意味。次の「イヤ」は、公園に行きたいという主張なんです。
例えば、公園で遊んでいるときに「さぁ、お昼になったから帰ろう」といって急に遊びを中断させると、子どもは「イヤ」と言いますよね。このようなときはいきなり「帰ろう」ではなく、帰りたい時間の5分前に「お腹が空いたね。(公園にある時計を指して)あの長い針が一番上に行ったら、お昼を食べに帰ろうね」と、声をかけます。すると子どもはそろそろ遊びを終わらせなければいけないと心の準備をします。すべり台で遊んでいたとしたら「あと3回すべったら帰ろうね」と、声かけします。子どもは「あと3回すべっていいんだ」と認識して楽しむことができるのです。
このように子どもの行動をいきなり中断させて次の行動に移すのではなく、前もって準備させるとスムーズに誘導できます。
けれども、3回すべったのに帰ろうとすると「イヤ」と言う子もいるでしょう。このようなときは「お腹すいてない」と聞いてみます。そこで子どもが「すいた」と答えたらしめたもの。「じゃあごはん食べにおうちに行こうね」と誘導します。子どもは自分の意見を受け入れてもらえたので、納得して帰ることができるのです。
では、子どもの答えが「すいてない」の場合お母さんはどうのように言えばいいのでしょうか。ここではきっぱりと「お母さんはお腹がすいちゃったから帰るね」と言いましょう。それでも子どもが駄々をこねるようでしたら、公園の外まで行き、子どもを目視します。お母さんは“本気だ”ということを態度で示すのです。お母さんが譲歩するのは3回まで。その後はないということを示し、このルールを変えないでください。はじめは泣いたりもしますが、続けることによってお母さんとのルールを体得していけるようになります。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)