Q:2歳半の娘のことで悩んでいます。最近急にわがままになってきました。まるでお姫様のごとく、自分のほうが近くにいるにもかかわらず「ティシュ取って」から始まって、あれしてこれして、と私に命令します。言うことを聞いてあげないと、いつまでもわざと大声で泣き続けます。このままではわがままな子になりそうで、心配です。泣いても命令を聞かないほうがいいのか悩んでいます。ただ、言い聞かせるには、小さすぎると思うのですが…。
A:子供に物事を言い聞かせるのに小さすぎることはありません。お腹にいるときに語りかけていたことや、生まれたばかりの赤ちゃんに話しかけていたことは、ちゃんと聞いているし見ています。言うことをきかないから放っておく、という対処ではなく、理解するまで何度も言い聞かせてあげるのが正解です。
娘さんがこのような行動をするには、理由があると思います。たとえば、「ママ、本を読んで」と頼んできたときに「今、忙しいから後でね」とお母さんが言ったとします。それでも、自分の要求を通したいがために、大泣きをしてみたら要求が受け入れられた、ということはありませんでしたか?子供は周囲の人に対して、実験と観察を繰り返して成長していきます。このとき娘さんは“泣けばやってもらえる”“泣けばママは自分のところに来る”と、学習してしまったのです。
では、お母さんはどうすればいいのでしょうか。
まず、そのまま泣かせ続けたら、子供がどんな行動を取るか観察してみましょう。そして、なぜその子が自分に命令をするのか、その理由を見極めるのです。ママに命令したがるのは、娘さんの個性かもしれません。または単純にかまってほしくてやっているだけなのかもしれません。
相談内容の行動だけを見ると、わがままというよりも、お母さんにかまってほしいのではないでしょうか。命令すれば、お母さんの関心を引きつけることができると思っているのです。
それとは別に、夫や義母など、家族の中でお母さんに命令する人はいませんか。たとえば夕食の時など、夫から「ビール」と言われたら、料理をしている途中でもすぐ手を止めて、夫の要求に応じていませんか? 逆に、子供のお願いには「今忙しいから後で」と言い訳をして、後回しにしていませんか? 子供は、周囲の大人を驚くほど観察しているんですよ。
もちろん、ティッシュを取ってあげても問題はありません。人よりも優位に立ちたがる子はいます。それもひとつの個性です。優位性があるということは、指導力があるということでもあるのです。
ただ、このケースの場合、お母さんが懸念するように、わがままな子に育ってしまう可能性はあります。誰かに何かをお願いするときには、命令口調ではなく相手への思いやりが大事だということ、お願いを聞いてくれたらお礼を言うことを教えてあげましょう。
次に何かを持ってきて、と命令されたら、「じゃあ、ママと一緒に取りに行こう」と子供を手伝わせるのです。手伝ったら「ママすごく助かっちゃった」とたくさんほめて、「これからもママのお手伝いをしてね」と約束します。ティッシュを一人で取れたらまたほめて、次からは一人でできるように約束をして…。その繰り返しです。一回でなんでもできる子はいません。繰り返し教えることで子供は成長していくのです。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)