2025年も猛暑の夏が近付いてきましたね。ゴールデンウィーク後半からは早くも汗ばむ気温になっています。毎年、「自分は汗っかきだから、こう暑いと大変!」と感じている人もいるのでは。でも実はそれ、汗っかきではなく「原発性局所多汗症(以下、多汗症)」と呼ばれる疾患かもしれません。
日本国内では多汗症が20人に1人はいるといわれており、手のひらや足の裏、腋窩(ワキ)、頭部や顔面の限られた部位から、日常生活に支障をきたすほどの過剰な発汗がみられます。多汗症でありながら放置してしまい、受診することなく生活に支障が出ているまま我慢しているケースも少なくないようです。
「汗っかき」と「多汗症」の違いは、汗が出るタイミング。通常、汗は体温調節が必要なときに出ますが、多汗症では冬の寒い時期やリラックスしているときでも出ることから、より日常生活に支障をきたしてしまうのです。
■気象データから発症時期を全国予測できる!?
「多汗症かもしれない」と思っても、なかなか受診するきっかけがない人もいるかもしれません。そんな人のために、「多汗症前線」が発表されました。これは、長崎大学と利研製薬、日本気象協会、JMDCの産学連携によるデータをもとに制作されたもので、日本全国のマップに多汗症の発症や症状が悪化する時期が示されています。
例えば、2025年の最低気温をもとにした多汗症の受診ピーク時期は、東京では6月15日、大阪では6月17日とされています。住まいのエリアの日付けをもとに「今年はいつ頃受診すればいいか」を判断でき、ピークを迎える前に受診すれば適切な治療を受けられるため、ツラい思いをするのを極力抑えられるでしょう。
■多汗症患者のリアルな対策事情とは?
この多汗症前線2025の発表イベントに登壇していたNPO法人の多汗症サポートグループ 代表理事で、自らも多汗症である黒澤希さんは、「汗をかくシーズンにはさまざまな工夫をして乗り切っている」といいます。
例えば、汗が目立たない色の服を着る、電車では吊り革ではなくポールにつかまり脇汗ジミが目立たないようにする、手にも汗をかくため綿の手袋など携帯するなどです。また、汗の臭いも気になることから、着替えも常に持っているとのこと。そして、「日頃からコーヒーなどカフェインを含んだものは汗を誘発するので飲むのを控えている」そうです。
「汗が気になる方は、ワキ汗セルフチェックシート(科研製薬提供)を活用して、自分の汗の状態を知っていただきたいです。受診のハードルは高いですが、改善されたという方もいらっしゃるので、一歩勇気を出して受診して欲しいです」と黒澤さん。
以前は治療法も限られていましたが、今では新しい治療も開発されつつあるといわれています。希望を持って、まずは受診をしてみてはいかがでしょうか。