「平日に仕事は有給(休暇)をとって、子どもは学校を休ませて家族旅行に行くのがいいんですよ。混まないし、お得ですから」
そう語ったのは、元衆議院議員でタレントの杉村太蔵だ。情報番組「サン!シャイン」(フジテレビ系)のGW最中の5月1日放送回。GWの旅行代が高すぎる問題に対し、“あえて学校を休ませて旅行に行く”という選択肢を賢い選択と評したのだ。
この発言に、スタジオではうなずく声もあれば、微妙な空気を漂わせる出演者も。そしてそれを見ていた視聴者たちの中にも、「…それ、言い切っちゃっていいの?」と戸惑った人は少なくなかったようだ。
「ズル休みで旅行」論争は、決して新しくない。数年前からSNSでは、毎年のようにこの話題が浮上しては消え、忘れた頃にまた炎上する―今や風物詩のような論争だが、今回のように、影響力のある人物による朝のワイドショーでの“ズル休み容認”とも取れる発言は初耳だ。
Xでは 「堂々と休ませていいって、先生はどう思うんだろう…」「家庭の判断とはいえ、子どもの中で“それもアリ”って刷り込まれないか心配」と、かつてほどの炎上は起きていないものの、「モヤモヤした」「なんか引っかかる」という“静かなざわめき”が広がったのだった。
●“賢い家族”の選択? それとも単なるルール破り?
都内の小学校教諭は、こうした動きに警鐘を鳴らす。
「GW明けは“どこ行った?”という会話が増える時期。『うちは混むからズラしたの』と言われた子どもが、自分だけ“ちゃんと(GW中に旅行に)行ってた”ことにモヤモヤすることもあるんです。集団の中で“自分だけ違う”という感覚は、小さな心には案外重たいものなんですよ」
とはいえ、旅行業界からは歓迎ムードも。
「平日の利用が増えるのは、我々にとっても助かります。混雑も減るし、価格も落ち着く。今は“空いてる時に行く”という考え方が市民権を得つつある印象です」(大手旅行会社関係者)
誰もが“正解”を模索しているSNSの時代、家族の過ごし方ひとつで、思わぬ波紋が広がる。ある主婦はこうつぶやく。
「家族旅行、行くこと自体は素敵。でも、それを“賢い選択”のように断言されると、こっちは間違ってたのかな?って落ち込む…」
旅行の仕方に正解も不正解もない―そう頭ではわかっていても、どこかで“選び方”を問われる時代。杉村氏の発言は、そんな現代の“親の微妙な立ち位置”を、あらためて浮き彫りにしたのかもしれない。