「朝ドラごときに金は払えない」「NHKが映らないテレビも販売してほしい」「月額2000円はどう考えてもボッタクリ」など、マイナンバー制度を活用した受信料の支払い義務化を提案したNHKに対し、視聴者の怒りの声が沸き上がっている。
NHK側は各家庭のセキュリティ強化などで局員の訪問催促などが困難になったなど、徴収に新たな方法が必要だとその理由を説明したが、それならば日頃の収入が少ない庶民が「紅白も大河ドラマも一切観ないから、契約できない方法も構築してほしい」と声を上げるのも当然だろう。
ところで、常に不払いが話題となるこのNHK受信料だが、各世帯を対象とした都道府県別の「支払い率」が2011年度以降、毎年発表されている。実はその支払い率が都道府県別の学力とリンクしているという説をご存知だろうか。
「某大手学習塾チェーンが発表した、受験などを控えた小中学生を対象とした2015年の最新学力ランキングのベスト5は、1位から順に秋田、福井、石川、富山、青森です。一方、2014年度のNHK受信料支払い率でも1位は秋田県。なんと97%の世帯が受信料を払っているというNHKが足を向けて寝られない県です。さらに学力ベスト5のうち、福井、富山、青森の3県が支払い率ベスト10に入っていますね。それだけなら日本海側の県に集中しているだけじゃないかという声も聞こえそうですが、猫も杓子も受験をする“学力無理やり引き上げ”東京都を除けば、学力ベスト10のうち6県が受信料支払い率ベスト10に入っていました。さらにワーストのほうもリンクしていますので、バカにできない傾向ではあります」(経済専門誌ライター)
ちなみに断トツでワースト1位の沖縄県(46.8%)を筆頭に、受信料支払い率が78%に満たない都道府県は全国で15あるのだが、学力ワースト7である沖縄、滋賀、佐賀、大阪、高知、北海道、埼玉のうち、佐賀県を除く6府県が受信料支払い率78%未満に入ってしまっているのが実情だ。
「支払い率だけでいえば貧富の差が激しい大都市のある県は低くなりがちなように、昔からテレビが娯楽の中心だった県とそうでない県との差ともいえます。しかし、学力とのリンクで考えれば、抵抗より従順、さらに真面目‥‥そういった県民性もおおいに出ていると思いますね。そして離婚率の高い県はどちらの数値も低い。受験教育や受信料など、日常生活に直接関係ない支出はなるべく抑えている家庭が多いのでしょう」(前出・専門誌ライター)
そう考えると、マイナンバーによる義務的受信料徴収が現実となった場合、やはり真っ先にターゲットとなるのは、都会でギリギリの生活を送る一人暮らしや、子供を抱えた母子家庭など貧困生活者ということになりそうだ。
ただでさえ問題の多いマイナンバーだけに、政府やNHKにはくれぐれも慎重に進めてほしい議題であることは間違いない。
(三崎康太)