一日の疲れを取ってリラックスできるのがバスタイムですが、お風呂の温熱効果は、体にとってはストレスになっているって知っていましたか? とはいえ、このストレスは、普通のストレスとはちょっと違います。ストレスという言葉を聞くと、体に悪いものと思ってしまいがちですが、入浴の健康効果について複数のメーカーや研究者に取材をすると、お風呂の温熱効果、体温上昇ストレスは、実はシミやシワを防ぎ、肌の若々しさを保つために役立ってくれる、“うれしいストレス”だということがわかりました。
その要因になっているのが、「ヒートショックプロテイン(熱ショックたんぱく質=HSP)」の存在です。HSPは体温が上昇することで作り出されるたんぱく質で、細胞の自己修復効果を促します。数種類のHSPがありますが、主に肌の修復にかかわるのが、HSP70というたんぱく質です。HSP70は、紫外線による肌細胞のダメージやDNAの傷の修復による炎症を抑えて、自己回復力を高めます。また、メラニンを減らす働きもあることから、シミを減らして美白効果も期待できるのです。さらに、コラーゲンの量を増やしてうまく働けるように質を高めてくれることが確認されているHSP47も、美肌のために役立っています。
HSPが多いほど美肌効果は高いともいえますが、これを増やす方法はとっても簡単。まず、入浴前に十分な水分を取って、脱水になるのを防ぎます。次に、お風呂のお湯の温度を40~42度に設定します。10分ほど浸かっていると体温が1度ほど上昇しますが、そのままさらに10分入るだけ。これだけで、HSPは増えるのです。できれば、入浴後に体温を計り、体温が1.5度ほど上昇しているのを確認しましょう。入浴後は、適温に保った部屋で肌の乾燥を防ぐ対策をして、体を冷やさないようにすることが大切です。ちなみに、作り出されたHSPの力は、入浴2日後から発揮するといわれ、1週間ほど体内に残り、その力を維持します。ですから、HSPを増やすための入浴法は、2~3日に1回でOKです。
お風呂に浸かるだけで肌の若々しさが保たれるのなら、こんな簡単なことはありませんよね。あなたも、入浴によるヒートショックプロテインの美肌活用法、ぜひ試してみませんか。
(医療/フィットネスライター・松尾直俊)