12月31日に放送される「第69回紅白歌合戦」(NHK)のトリは、紅組が石川さゆり、白組は嵐。そして嵐の後に“平成最後の紅白”を締めくくるのが、サザンオールスターズだ。
サザンオールスターズが披露するのは「勝手にシンドバッド」と「希望の轍」の2曲。どちらも名曲だが、デビューシングルの「勝手にシンドバッド」はオールドファンならずとも懐かしさを感じる。
「サザンオールスターズが『勝手にシンドバッド』を引っさげてデビューしたのが、1978年です。当時は早口で歌詞が聴き取れないなどと騒がれましたが、日本語でもロック調の曲が合うことを認識させられた名曲でした」(音楽ライター)
まったく意味不明だったタイトルも話題となった。
「前年にヒットした沢田研二の『勝手にしやがれ』とピンクレディの『渚のシンドバッド』の“勝手に”と“シンドバッド”を組み合わせたものです。これほど大胆にパクって人を食った曲名も珍しいでしょう」(前出・音楽ライター)
実は、「勝手にしやがれ」と「渚のシンドバッド」の作詞は、2007年に亡くなった作詞家の阿久悠によるものだ。
16年5月30日のニュースサイト「アエラドット」で音楽評論家のスージー鈴木氏は「この時、桑田佳祐は22歳。42歳の阿久悠にしてみれば、海の物とも山の物ともしれない若者が、まったく新しい感性で自分の曲を換骨奪胎してデビューしたことは、自分のキャリアを揺るがしかねないような、大きな脅威だったはずです」と分析している。
「17年9月14日の『夕刊フジ』の公式サイト『zakzak』で、阿久悠の長男である作曲家の深田太郎氏は、父親がいないときに『勝手にシンドバッド』をこっそり聴いていたと明かしています。その理由について、深田氏は『なんだか父の仕事を脅かすような存在だと、子供心に思ったんでしょうね』と告白していました」(前出・音楽ライター)
希代の名作詞家も脅威に感じた「勝手にシンドバッド」が楽しみだ。
(石田英明)