1月6日の「サザエさんお正月スペシャル」(フジテレビ系)で、ファンを驚かせる場面が放送されたという。今回は埼玉・秩父旅行に赴く回でサザエさんが見せたゴリラのモノマネも話題になっているが、それ以上にファンを惑わせているのが、カツオが通う小学校のシーンだというのだ。
小学5年生のカツオは「かもめ第三小学校」に通っており、ここは東京・世田谷区の公立小学校がモデルだと言われている。その校名からして公立校であることは間違いなく、カツオたちも制服ではなく普段着で通学しているが、その小学校に謎の設定があるというのだ。小学生の子供を持つ女性誌ライターが指摘する。
「カツオたちが教室内で談笑するシーンでは、壁に貼ってある時間割が映し出されました。その時間割を見ると、土曜日に授業があるのです。しかし東京都の公立小学校では2002年度以降、週休2日制が導入されており、現実に反しています。12年からは月1回の土曜授業を実施するようになりましたが、すべての土曜日に授業があるのは私立校だけで、公立小学校では例がありません。そうなるとこの『かもめ第三小学校』はいったいどこの小学校なのか、実に疑問ですね」
ところがその疑問は、ひとつ見方を変えるだけで解決するというのだ。ベテランの週刊誌記者が謎解きする。
「そのヒントは一週間の総授業数にあります。この時間割では火曜日と木曜日が6時間授業となっており、週に30時間の授業があります。これは現在の小学校よりも多く、ゆとり教育が始まる前の昭和50年代の水準です。つまり『サザエさん』では未だに昭和の時代が描かれていると考えれば、土曜授業の件も含めて辻褄が合いますね」
言われてみると「サザエさん」では劇中の時代設定を明らかにしていない。しかも磯野家では未だに黒電話を使っており、登場人物は誰もスマホを持っていないのである。たまに折り畳み式の携帯電話が登場することもあり、時代設定の厳密さに欠ける点もあるが、基本的には作中の時間が昭和のままで止まっていると考えたほうが良さそうだ。
「現代ではあり得ないシーンとして、3歳のタラちゃんが一人で公園に遊びに行く場面が挙げられます。昭和のころはたまに見られた光景で、当時は地域コミュニティの相互監視が効いており、子供は地域全体で見守っていたのです。そんな古き良き昭和を描き続けるアニメがあってもいいのではないでしょうか」(前出・週刊誌記者)
そんな「サザエさん」の自宅ではアナログ放送が終了した現在でもブラウン管のテレビを使い続けている。やはり作中の時間は過去のままで止まっているようだ。
(白根麻子)