丸大ハムがプリンのスイーツを、逆にスイーツのミスタードーナツがピザで食品を手掛けることになった。
丸大ハムは「神戸プリン」などを手掛けるトークラ(神戸市)を買収、プリン事業に乗り出す。もちろん丸大ハムはハムやソーセージのメーカー。
「1990年前後にピザやデザート、ヨーグルト製品も扱ってメニューの多角化を図ってはいたが、今回のプリン買収では本格的な事業の柱の1つに据える考えのようです。トークラは油脂大手の不二製油グループ企業ですが、本業以外を育てたい丸大ハムと、基幹事業に特化したい不二製油との間で思惑が一致した形です」(経済ジャーナリスト)
丸大ハムとしては、販売競争の激化や物流や原料価格といった様々な価格の上昇、ハム・ソーセージでは今後の成長性も見込めないため、人気で成長性のあるスイーツに生き残りをかけたいようだ。
ミスタードーナツの場合は正確に言えば、ダスキンがピザ事業を取り込む形だ。ミスタードーナツはダスキングループ企業で、グループ全体の売り上げの20%を占める。そのダスキンが「ナポリの窯」などを展開するいちごHD(仙台市)の宅配ピザ部門を買収した。
「2016年にダスキンはいちごHDと業務提携して、もともとドーナツ店舗でのピザの販売を手掛けていました。ダスキンは2021年3月期決算ではコロナの影響などで赤字に落ち込む見通しで、ポスト・コロナの新しい生活様式に見合ったピザの宅配を本格的に取り込んだ形になります」(同前)
もともと内需が細る中でコロナの影響をモロに受けた外食・フード業界では、今後、各社生き残りをかけてこういった動きが多発することだろう。
(猫間滋)