「告白」「白ゆき姫殺人事件」などのベストセラー作家・湊かなえが、自身が受賞した第29回「山本周五郎賞」(新潮文芸振興会主催)について苦言を呈した。
湊は、山本周五郎賞の受賞エッセイの中で「私にとって文学賞は次のステージへの動力と成る燃料補給」と受賞の感想を綴ったのだが、「文芸の外の人が2作目なのに上手に書けているという、イロモノ扱いのままで審査された作品と僅差だった。そのような結果が動力になる小説家がいるのでしょうか?」と痛烈に批判した。
この「文芸の外の人」とは、「浅き夢見し」で小説家デビューしたモデルの押切もえのこと。押切は2作目の「永遠とは違う一日」で山本周五郎賞にノミネートされていた。その選考について選考委員の佐々木譲氏が「湊さんのほかにもう1人、有力な方がいました。押切もえさんです」と説明。さらに「W受賞でもいいのではないか、という意見もありました」と発言したのだ。
「湊さんとしては、押切と同列にされたことがよほど腹立たしかったのでしょう。また、芥川賞を受賞した又吉直樹の時のように話題性に乗っかろうとした選考委員に対し、押切をノミネートしたことは『二番煎じの愚策』とまで批判しました。これは、主催者である新潮社に対する異例の批判でもあります」(文芸誌関係者)
押切が本当の意味で文壇に認められる日は来るのだろうか?