レポーター歴30年の長谷川まさ子氏は、現場ならではの「生々しい空気感」に、いくつも立ち会って来た。その中でも、男と女がむき出しの感情をぶつけ合った瞬間とは?
思いがけない本音が出てしまうのが、ワイドショーにおける会見かもしれません。例えば00年6月29日、坂東八十助(後に三津五郎、15年没)さんとの離婚会見を開いた近藤サトさんは、その理由についてこう言いました。
「私は結婚に際して子供ができることを望んでおりました。女性であれば誰でも願い、強く希望することであると思います。それを誰かの意思によって阻まれるというのは、私にとって理解できない」
これにはレポーター仲間が皆して凍りついてしまいました。八十助さんには前妻との間に跡継ぎとなる長男がいます。そうした梨園の事情に言及することは、タブーとされていたからです。
もともとサトさんは八十助さんと略奪婚になりますが、歌舞伎役者と結婚したい女性って、急に着物を着るようになりますね。それは藤原紀香さんも同じですが、あの当時のサトさんは奪う気が満々。もっとも、離婚した3年後にはデキ婚をしていますから、とにかく子供が欲しかったんでしょう。
00年12月27日、浅丘ルリ子さんを同席させての石坂浩二さんの離婚会見は、その後の展開に言葉を失いました。離婚は石坂さんの母親の介護に浅丘さんを巻き込みたくないという理由から。
「石坂に感謝こそすれ、恨みつらみは一切ありません」
浅丘さんは気丈にそう答えましたが、何と、この5日後の01年1月1日、石坂さんは22歳年下の女性と再婚されたのです。その女性は石坂さんの劇団で長く働いていた方で、結局、不倫を成就させるために、あれだけの大女優である浅丘さんを会見に引っ張り出したのかという論調になりました。
これとは逆に明るかったのは、記憶に新しい三遊亭円楽さんの「錦糸町ラブホ不倫」の会見ですね。とにかく対応が早い、ウソはつかない、笑いの部分もあって、報道した「FRIDAY」にも感謝の気持ちを述べて、われわれ取材陣もお見送りするという、さすがな会見でした。
実は、あの一件が発覚したのには別の事情があるんです。もともと「FRIDAY」は円楽さんの別の写真を撮っていたけれど、アモーレこと平愛梨さんと長友佑都さんの件が入って、1週、先送りになっていたんです。
じゃあ、もう少し張り込みを続けるかとなったら、あの「3990円ラブホ」にたどり着いたという幸運だったんです。そういえば円楽さん以降、私たちを見送るというケースは、なぜか増えました(笑)。
花田勝(現在は虎上)さんと花田美恵子さんは、花田さんのたび重なる浮気が原因で離婚間近だと言われていました。私たちが2人の家を直撃すると、花田さんは何ひとつ答えない。
その代わり、美恵子さんは犬のお散歩に行くのでもすごくオシャレをしているんです。これは何かあるんじゃないか‥‥そしたら、11歳年下の若手俳優・青木堅治との不倫が発覚してしまいました。
青木はイベントの囲み会見であっさりと不倫を認めたものの、美恵子さんにとっては大きな痛手ではなかったように思います。青木のほうは組んでいたバンドも解散し、ライブも中止と散々でしたが(笑)。
最後は自宅に男を引っ張り込んだ矢口真里ちゃんです。当時の夫・中村昌也が帰ってきたため、鉢合わせした不倫相手の梅田賢三はクローゼットに逃げ込んだというのが定説。
実はその後、私がレギュラー出演している関西の番組に矢口ちゃんがゲストで来たんです。その日の真相をテーマにしていたら、矢口ちゃんが衝撃の一言。
「クローゼットって何のことですか?」
出演者全員が、「ええーっ!」ですよ。ところが矢口ちゃんいわく、「そんな修羅場はありません」と。ただ、前夫サイドとの約束で、細かいことは言えないんだそうです。
それでも矢口ちゃんは、騒動直後の会見では、きちんと自分の言葉で語ろうとしていました。残念ながらベッキーは、「金スマ」(TBS系)のみで語ったため、ワイドショーの立場としては映像も使えません。そこに対応の違いが出たと思います。