映画「ミッドナイトスワン」で主役を務めた草なぎ剛の評価がうなぎのぼりになっている。
メガホンをとったのは、内田英治監督。昨年は村西とおる監督を山田孝之が演じて話題になった「全裸監督」(Netflix)や、テレビ東京系列の深夜連ドラ「Iターン」(ムロツヨシ、古田新太などが出演)で脚本・監督を務めた注目の人物だ。80年代後半から映像、出版に携わっているため、これまで数えきれないほど多くの有名芸能人と仕事をしてきた。そんななかでも、草なぎは特殊な俳優だという。
「ドラマや映画の撮影は基本、カメラ位置、主軸で撮りたいキャストを変えて、何度も同じシーンを撮ります。セットチェンジにはそれなりの時間がかかるため、キャストはいったん現場から離れて控室に戻るのですが、草なぎはずっと現場に残ったままなんです」(映画関係者)
「ミッドナイトスワン」の撮影では、それが顕著だった。草なぎのクランクインから2日ほどは、居残る主役にスタッフは違和感を覚えていた。ところが3日も経つと、そこに佇んでいることが当たり前の空気のような存在となり、気に留めるスタッフはいなくなった。そもそも草なぎはSMAP時代から、その場に溶け込む天才。今も、その力を失っていないようだ。
現場から離れないといえば、木村拓哉もSMAP時代から実践している。バラエティ番組、ドラマでも単独の控室はほとんど使わず、多くの関係者が絶え間なく行き来する前室に居座ることで有名だ。
「『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の収録は、まさにそうでした。コントやゲーム、歌や料理コーナー『BISTRO SMAP』が毎週2回、フジ社内のスタジオで撮られていましたが、合間の待ち時間はほぼ前室で過ごしていました。マッサージをしてもらったり、雑誌を読んだり、スタッフと歓談したりしていましたね」(芸能ライター)
木村はダウンタウン・浜田雅功の影響によって、前室の重要さを知った。95年のドラマ「人生は上々だ」(TBS系)で共演したとき、浜田は常に前室で周囲を和ませ、雰囲気づくりを万全にしたうえで、本番に挑んだ。木村はそれをマネたのだ。
草なぎと木村はSMAP時代、プライベートも共にするほどの仲ではなかった。だが、袂を分かった今、演技者として同じルーティーンを続けている。ファンにとっては、うれしい一致かもしれない。
(北村ともこ)