人は、自分と同じような人を好きになりがちです。例えば、共通する趣味や食の嗜好、笑いのツボが同じといったことなどです。このことは普段から私たちが感じていることでもありますよね。
このように、自分と同じような人を好きになることを心理学では【類似性の法則】といい、多くの心理実験結果から生まれた法則なのです。では、どうして自分と同じような人に好意を持ちがちなのでしょうか。このことは、心理学者バーンの「社会比較過程理論」によって説明がつきます。
このテーマの根底には“人はみな、自分の考え方や意見は正しいと思いたい”という現実があります。これを【一致妥当化】というのですが、私たちはみんな、自分が可愛いですよね。自分の考え方や意見が間違っているなどとは、思いたくもないわけです。ですから、相手が少しでも自分と似たような要素を持つ人だと、自分の意見は正しいのだなと肯定されているような気がして安心するのです。自分と似たような人がいるということは、そのこと自体が自分の考え方や意見が正しいということにつながるというわけです。
確かに、ちょっとした食べ物の嗜好だとしても、気が合うとうれしくなるものですよね。メジャーな食べ物はもちろん、あまり見かけない通っぽいお菓子などで気が合ったりすると、余計にうれしさが増したりします。あるいは、地元の超ローカルな名産品の話題などで盛り上がることもあるのではないでしょうか。
人はみな、寂しさを抱えて生きている。だからこそ、自分と同じような相手を無意識のうちに探し、恋をしてしまうのでしょう。なんとも人間らしい心理説ではないでしょうか。
(恋愛カウンセラー・安藤房子)