お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志が3月20日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)に出演し、日本軍によるかつての真珠湾攻撃について言及したウクライナのゼレンスキー大統領を「受け入れがたい」と語った。
番組では、一向に収束する気配のないロシアによるウクライナへの軍事侵攻を取り上げ、ゼレンスキー大統領が各国議会で行なっている演説の内容についても紹介した。
米国向けの演説では、今回のロシアからの侵攻を「1941年の真珠湾攻撃を思い出してほしい。空が戦闘機で黒くなった」と表現し、「2001年のアメリカ中枢同時テロを思い出してほしい。空からの攻撃で街が戦場と化し、罪のない人々が攻撃を受けた。同じ状況がウクライナでは毎日起きている」と語っていた。
これに関し、松本は「真珠湾攻撃を出してきたのは引っかかる。日本人としては受け入れがたいところがある」とコメント。続けて「奇襲攻撃だったのは間違いないけど、民間人を巻き込んだわけではない。今回のケースと同じように語られるのは、ちょっと嫌だったですね」と述べた。
また、ゼレンスキー大統領は3月23日に日本の国会でも演説を行うことになっており、松本は「(日本で)演説をするなら、なおさら、あれはよろしくないかなぁと思う」と苦言。すると、この日のコメンテーターとして出演したキャスター・安藤優子は「ゼレンスキーさんは演説をする国によって内容を変えている。ドイツでは、一部では謝意を示すんですが、ドイツこそが自分たちとNATOを分断した張本人だと責め立てるんですよね。そういったカードを巧みに使い分ける政治家なんだと思う」とし、今回の演説に至った背景に同大統領の戦略があるのではないかと推察した。
「ゼレンスキー大統領はあくまでアメリカ人にとって共感しやすい話題を引き合いに出すことで、ロシアによる侵攻の恐怖を表現したかったのでしょうが、ネットやSNSには、松本と同様に不快感を覚えたとする声が散見。『日本の歴史観を知らなかったのか、日本での演説の中では受け入れがたい話をしてしまったのは、ゼレンスキー大統領の誤算だった』『なぜ言ったのかの説明をしてほしい。説明と意図を』『日本人としては、嫌な気持ちになりました』『ゼレンスキーさんはアメリカが日本人の民間人を大虐殺した事実を知らないのでしょうか?』といった反応があったほか、中には、『日本人も反省すべき点はある』『ゼレンスキーが演説で真珠湾を持ち出したのは当然では。なによりこの戦争ではアメリカの支援をいかに引き出すかが大事なのだから。別に日本はウクライナに対戦車ミサイルを供与してくれるわけではない』との指摘も見られました」(テレビ誌ライター)
ゼレンスキー大統領の演説は、戦争における“正義”が各国の立場によって複雑に変化していくことを物語るものだったと言えるだろう。
(木村慎吾)