NHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」が好調だ。8月17日に放送された第117回も25.9%という同ドラマ最高視聴率をマークした。
雑誌「暮しの手帖」創業者の大橋鎭子氏をモチーフに、戦前から高度経済成長期を駆け抜けたスーパーウーマンを描く物語。戦争の暗い面や登場人物の死は極力描かず、朝ドラお約束の恋バナありとかなり軽いタッチのドラマに仕上がっている。
しかし、高視聴率と反比例してその評判はかんばしくない。テレビ誌ライターが語る。
「これまでの朝ドラにもアンチファンはいましたが、これほど批判を目にするのは珍しい。今がいつで登場人物が何歳なのか時間軸がわかりにくいし、設定に矛盾点が多く、説明ゼリフばかり。ヒロインはとくに努力も苦労もせず、ときに傲慢な上から目線が鼻につくという意見も多い。絶対的な敵が定期的に登場しては去っていくの繰り返しで、物語に深みがありません。その薄い内容が“ながら見”の朝ドラというコンテンツとマッチしているのかもしれませんね」
「暮しの手帖」は内容とデザインにこだわり、広告を載せないなど硬派な姿勢で知られる雑誌。ファンも多いだけに、モチーフの大橋氏とヒロイン像がかけはなれていると失望している視聴者も多いという。
とはいえ、アンチといえども番組を見ているのはまぎれもない事実。ネットに感想を書き込むアンチがいる限り、視聴率も安泰のようだ。評判が悪くても成功するという貴重な前例になるドラマかもしれない。
(笠原和美)