ジャニーズ事務所の創業者で2019年に死去したジャニー喜多川氏のジャニーズタレントへの性加害問題に関し、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長が5月14日、公式サイトに1分あまりの動画で登場。「被害を訴えられている方々に対し、深く、深くお詫び申し上げます」と語り、硬い表情で、何度も頭を下げ謝罪し、各方面からの質問については書面で回答した。
ジュリー社長は、英・BBCの報道や元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏の告発については「当然のことながら問題がなかったとは一切思っておりません。加えて会社としても、私個人としても、そのような行為自体は決して許されることではないと考えております」とする一方、ジャニー氏はすでに故人であることから「私どもの方から個別の告発内容について『事実』と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではなく、さらには憶測による誹謗中傷等の二次被害についても慎重に配慮しなければならないことから、この点につきましてはどうかご理解いただきたく存じます」とコメント。ジャニー氏の性加害の事実関係については「知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした」としつつも、「これから先、二度と同様の問題が起こらないよう、既に着手し始めている経営改革、社内意識の抜本的改革をやり抜く」と決意も表明している。
「検証などを求め、1万6000人余りの署名をジャニーズ事務所に提出していたジャニーズファンの有志団体は、ジュリー社長が名乗り出ている被害者に謝罪したことは『一定程度、評価する』としています。しかし、ジュリー社長が性加害について知らなかったことについては、この問題の報道を巡る裁判の際に取締役に名を連ねていて、裁判は高裁でジャニーズ事務所が敗訴していることもあってファンからは疑問の声も少なくありません」
そんな中、テレビ各局もこの問題を様々に報じた。動画公開前の11日に「news23」(TBS系)は、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトのインタビューを放送。カウアンがジャニー氏の「疑惑」について「当時からメディアが報じていたら、ジャニーズ事務所に行くことはなかった」と語ったことを受け、メインキャスターの小川彩佳アナは「はたして報道機関がどれだけこうした被害を報道してきたのか。少なくとも私たちの番組ではお伝えしてこなかったという現状があります。その中でカウアンさんの発言は非常に重く、この言葉には向き合わなければならないと感じています。今後番組ではこうした訴えをしっかりと受け止め報道していきたいと考えております」と、局や番組のこれまでの姿勢への反省をにじませ語った。
一方、動画公開の翌日の15日に放送された「news zero」(日本テレビ系)では、月曜キャスターでジャニーズグループ「嵐」の櫻井翔がこの問題にどう発言するが注目された。が、
「結果として、櫻井は何も語りませんでした。そもそもこの問題を報じる時に、席を外させられたかのように画面から姿を消したんです。番組では前日のジュリー社長の謝罪について報じた際に、メインキャスターの有働由美子アナが『この件については、番組で話し合って、私が話します』と前置きして、ひとりでコーナーを進行。櫻井は名前も出てきませんでしたし、ワイプにも映らなかった」(テレビ誌ライター)
芸能ライターが補足する。
「櫻井はこの問題について、もちろん思うところはあったはずです。それが、最初から視聴者の前に出さないという番組側の判断には、現役のジャニーズアイドルである櫻井の口から話を聞きたいと注目していた多くの視聴者は肩透かしを食らった思いでしょう。くしくも櫻井との交際も過去に報じられた小川アナが“自己批判”で株を上げたのと裏腹に、櫻井を出さないとした日テレの対応には、このまま事態が鎮静化するのを待っているような煮え切らなさを感じましたね」
2度と被害を生まないようにするために、テレビ局側の「忖度体質」も改めていくべきだろう。
(石見剣)