2013年上半期のNHK朝ドラ「あまちゃん」第71回が6月23日に再放送され、主人公の天野アキ(能年玲奈)=当時、現在は「のん」として活動=と、親友の足立ユイ(橋本愛)が、東京でアイドルに挑戦することが本決まりになった。
アキの母・春子(小泉今日子)と祖母の夏(宮本信子)の2人は話し合い、25年前の恩讐を乗り越え和解。母親の気持ちも娘の気持ちも理解した春子は、アキを東京に送り出すことに決め、「ちゃんと本気でやんなきゃダメ」「ゼロか10しかないから」と、アキに声をかけたのだ。
そして、アキとユイが東京に旅立つ前日。アキはいつものように三陸の海に潜りウニを採ったのだった。
「そのバックで流れたのは、岩手が生んだ作家・宮沢賢治が作詞・作曲した『星めぐりの歌』でした。インストゥルメンタルでしたが、どこか懐かしく、もの寂しい響きのメロディはすぐにそれとわかりました」(文芸誌デスク)
東北新幹線・新花巻駅の発車メロディにも使用され、さる6月11日に運行が終了したJR釜石線・SL銀河の同駅発着時にも流れていた「星めぐりの歌」は、歌詞中に「あかいめだまのさそり」(さそり座のアンタレス)や「あをいめだまの小犬」(おおいぬ座のシリウス)など様々な天体が出てくることで知られ、宮沢の童話「銀河鉄道の夜」でも使用されている。
「『銀河鉄道の夜』は、主人公の少年・ジョバンニが親友のカムパネルラと2人で銀河鉄道の旅をする物語。『あまちゃん』の脚本家・宮藤官九郎は、アキとユイをジョバンニとカンパネルラに見立て、2人が乗る北三陸鉄道を銀河鉄道に擬したのでしょう。2人の成長と健闘を祈っているように感じましたね」(前出・文芸誌デスク)
アキとユイの2人旅にはどんなことが待ち受けるのだろうか。ところが、2人にはこの後思いも寄らぬ試練が待っているのだ─。
(石見剣)