ダイエットや健康維持のために「コレステロールを摂るのを控えている」という人はいると思います。「コレステロールが多いから、卵を食べるのは1日1個まで」という話もあります。
「厚生労働省が5年ごとに発表する『食事摂取基準』によれば、2010年版まではコレステロールの摂取量は成人女性で1日600mg未満、同じく男性は750mgとなっていました。ところが、2015年版ではその基準が撤廃されたのです」
こう話すのは健康情報にも詳しいフィットネスライター。一体どういうことなのでしょうか。続けて話します。
「体内にあるコレステロールのおよそ8割が肝臓で合成される脂質です。そして残りの2割である食事から摂取する分は、実は影響が少ないということがわかってきたのです。そこで、摂取目標を定める科学的根拠が薄くなってきたという理由から、食物に含まれる分は無視しても構わないということになりました」
コレステロールはなにかと悪者のように言われていますが、実は体の中で細胞膜やホルモン、ビタミンDなどを作り出すために働く、無くてはならない大切な物質でもあるといいます。
「とは言え、すでに高コレステロールだと診断されている人は卵だけでなく、牛や豚、鶏のレバー、うなぎやイカなどもコレステロールが高い食品ですから注意しなければいけません。でも、健康な人は食事から摂る分を気にしたり、制限したりする必要はないのです」(前出・フィットネスライター)
また、ある研究では卵は血中コレステロール値に影響しないという報告もあるそうです。これは黄身に含まれているレシチンという物質が、悪玉コレステロール(LDL)を減らして、善玉コレステロール(HDL)を多くする働きがあるので、余計なコレステロールが血管に付着して詰まらせるのを防ぐのでないか、とも考えられているのだそうです。
ビタミンC以外のほとんどの栄養素を含んでいて、ダイエットや筋肉作りにも役立つ卵。毎日3~4個となると考えものですが、もう、あまり気にすることなく食べることができますね。