この人の言葉にはたしかな重みがあるに違いないだろう。
達者な日本語ツイートでファンも多いジョージアのティムラズ・レジャバ駐日大使が、超大手のIT企業にアドバイスだ。社名を「X」に変更したことで話題のツイッターに対して「相談ならいつでも乗るよイーロン」とツイート。2.7万件を超えるいいねを集めている。
レジャバ大使は7月25日に「ツイッターはXに名前を変えました」と前置きしつつ、「日本で、名前を変えることがどれほど大変かは身をもって体験している」とツイート。投稿の最後には「あ、そこのあなた、グルジアじゃないよジョージアだよ」と記していた。
ジョージアは元々「サカルトヴェロ」が正式な国名で、対外的には英語名の「Georgia」(米ジョージア州と同じスペル)を用いつつ、多くの国々ではロシア語風の「グルジア」や、それに近い発音で呼ばれてきた。
ソ連崩壊後の1991年には独立宣言を行い、日本とは1992年に国交を樹立。当初は旧名称のグルジアで呼ばれていたが、2008年の南オセチア紛争を機にロシアとの敵対関係が決定的となり、ロシア語に由来するグルジアからジョージアへの呼称変更を、各国政府に対して要請するようになった経緯がある。
日本政府に対しては2014年の首脳会談にて変更が要請され、翌2015年に関係法令を改正。4月22日付けで改正案が施行され、正式にジョージアと呼ぶこととなった。
「レジャバ大使は2021年の就任ですが、それ以前に約20年にわたる日本在住経験があり、茨城県の高校を卒業後、2011年には早稲田大学を卒業。2012~2015年にはキッコーマンに勤務していました。それゆえ日本におけるジョージアの名称変更を、最も身近に感じていたジョージア人の一人だと言えるでしょう」(週刊誌記者)
その経験をもとにレジャバ大使は続くツイートで、「仕方ない、コツを伝授します」とアドバイス。「その秘訣は、決して癇癪を起こさず、どれだけ時間がかかっても丁寧に説明を繰り返すことです」と綴っていた。
日本ではいまや「ジョージア」という国名がしっかりと浸透しており、ネット検索では「グルジア」に圧倒的な差をつけている。若い世代だとそもそもグルジアという旧呼称を知らない人も増えていることだろう。
それでも2015年の法改正からすでに8年も経っており、国家という巨大な組織であっても、名称変更が浸透するには時間がかかることが分かる。その経験を知るレジャバ大使の言葉は果たして、X社のイーロン・マスク氏に届くのだろうか。