【らんまん】万太郎が胸に刺した花で伝えたかったメッセージとは!

 そのチョイスにこそ、彼らしさが表れていたのではないだろうか。

 9月27日放送のNHK連続テレビ小説「らんまん」第128回では、主人公の槙野万太郎(神木隆之介)に東京帝国大学から理学博士号を贈られる様子が描かれた。その授与式で万太郎が胸に着けていた花に、多くの視聴者が注目していたという。

 愛妻の寿恵子(浜辺美波)と共に銀座で新しい服をあつらえ、授与式に臨んだ万太郎。自宅を出る時は何も着けていなかった胸に、授与式では黄色く可憐な花があしらわれていた。どうやらその辺りに生えている花を摘んできたのだろう。

「万太郎が着けていた花はおそらく女郎花(おみなえし)。秋の七草として古来から親しまれており、万葉集にも山上憶良が詠んだ秋の七草の歌が二首収められています。それゆえ、この女郎花は理学博士に推挙してくれた徳永名誉教授(田中哲司)への感謝を示しているのではないでしょうか」(テレビ誌ライター)

 徳永名誉教授は帝国大学の教授時代に、万太郎を助手に雇ってくれた恩義のある人物。元々は文学を志しており、万葉集などの古典文学にも造詣が深いことでも知られている。時には衝突することも少なくなかったが、今回も「最後まで世話が焼ける」と嬉しそうにつぶやく場面があり、万太郎とは良好な関係を保っていたようだ。

 それに加えて万太郎が女郎花を選んだのは、妻・寿恵子に対する感謝のメッセージでもあるという。

 万太郎は式辞のスピーチにて「あらゆる命には限りがある。植物にも、人にも」と語りつつ、そういった植物や人に「出逢えたことが奇跡。いとおしくてしょうがない」と感謝。そのうえで「誰よりも私を支えてくれた妻と皆様方に感謝申し上げます」と語っていた。

「物語時点ではまだ明かされていませんが、史実に従えば寿恵子は翌年に病で亡くなります。寿恵子に対して病院に行くよう促す場面もあり、おそらくよろしくない診断が下っていたはず。だからこそ万太郎は女郎花に命のはかなさと美しさ、そして感謝の気持ちを込めたのでしょう」(前出・テレビ誌ライター)

 女郎花の花言葉は「優しさ」や「親切」、そして「美人」だという。万太郎に対して優しく、親切に接してくれた寿恵子。授与式に臨む前には「今日もキレイじゃの。寿恵ちゃん」と声をかけていた。そんな想いが黄色く可憐な花に込められていたのではと、涙する視聴者も少なくなかったようだ。

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