戦後「ブギの女王」として一世を風靡した笠置シヅ子をモデルにしたNHKの朝ドラが好調だ。10月2日の放送が始まるや「ブギウギ」がX(旧ツイッター)で日本トレンド1位を獲得。第18回が放送された25日の平均世帯視聴率(関東地区)も16.2%と初回(16.5%)に迫る勢いだ。しかし、古き良き朝ドラの“伝統芸”がアメリカでは受け入れられないというのだ。(10月6日配信)
このご時世にマズいんじゃないの? そんな声も漏れ伝わっていたようだ。
10月6日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第5回では、花咲音楽学校の入団試験に落ちたヒロインの鈴子(澤井梨丘)が、梅丸少女歌劇団(USK)のレビューを観て感動。前日に入団試験は終わっていたものの、直談判の末に歌を披露し、USKの林部長(橋本じゅん)が「入れたれや」と入団を認める様子が描かれた。
念願かなって少女歌劇団に所属できることになった鈴子は大喜び。USK受験を勧めた父親の梅吉(柳葉敏郎)も大興奮で、鈴子を抱き上げては「褒美のキッスや!」と羽目を外していた。
そんな親子愛に視聴者からも<合格できて本当によかった!><ええお父ちゃんやなあ>といった喜びの声が続出。放送第1週をハッピーエンドで締めくくることができたようだ。だが一方では、一部の内容に眉をひそめる向きもあったという。
「花咲に不合格して落ち込んでいた鈴子。実家が銭湯とあって、広い湯船に浸かりながら涙を流す場面もありました。第3回にも鈴子が入浴する場面があり、肩まで見えていたもの。これらの入浴シーンに《アメリカでは放送できないのでは?》といぶかる声も少なくないのです」(テレビ誌ライター)
日本と異なりアメリカでは、テレビドラマで艶っぽいシーンを放送することは禁じられている。とくに未成年者に関する制限は厳しく、12歳の少女が入浴しているシーンはもはや完全にアウトというのが常識だ。
鈴子の入浴シーンに関して、日本人にとっては「実家が銭湯」であることを示す記号であることは明らか。開店前や閉店後には経営者の家族が広い湯船を独占できるという裏事情も、説明なしに受け入れることができるだろう。
しかし銭湯の存在しないアメリカ人にとっては、脈絡もなく少女の入浴シーンが挿入されていると受け止められかねず、大問題になる恐れもはらんだ描写だというのである。
「そういった海外事情を差し引いても、果たして鈴子の入浴シーンが必要なのかどうかは疑問の残るところ。3作前の『ちむどんどん』には川口春奈や上白石萌歌が自宅の内風呂に浸かるシーンがあり、必然性の薄い入浴シーンに《けしからん》《やってくれたな!》といった批判の声ももちあがっていたものです」(前出・テレビ誌ライター)
もっとも朝ドラでの入浴シーンはもはや伝統的な描写と言えなくもない。その伝統を続けるのか、それとも海外市場を想定した変化を受け入れるのか。2023年現在の朝ドラ制作陣は、古き良き朝ドラの維持を重視しているようだ。